生きていればいい



成人したら自立するように、と教育をしたわけでもないのですが、20歳になりました途端、すっぱりと、まさに見事なほどにすっぱり、と親から離れたという印象の娘。もちろんまだまだ未熟ではありますが、自分で考え、自分で選んだ道を歩んでいっております。親として、相談をされればアドバイスはしておりますが、決定はもう全て彼女自身。
最近、娘のことを考える時によく思い出しますのが、大島弓子の、『四月怪談』という作品。今はもう手元にないので、ややあやふやな記憶なのですが、工事現場から落ちてきた鉄骨が頭に当たって死んでしまった女子高生が、成仏せずにふらふらしている間に知り合った侍の幽霊と一緒に生き返る…というような粗筋の物語。この中で、主人公の母親が、生き返った娘の行動がちょっと変でも、「死ぬよりいい」といって頭を撫でて可愛がるのです。このシーンが繰り返し思い出されて。我が娘の場合には、生死を彷徨うようなことがあったわけではないのですが、何があっても死ぬよりはいい、生きていればいい、と最近しみじみとそう思うのです。
大切な人に対しては同じ想いを。生きていればいい。生きているだけでいい。