復讐の心は地獄のように燃え



こちらは凄まじき母子関係。モーツァルトの歌劇、『魔笛』、第二幕で夜の女王が歌うアリア。
我が娘に短刀を手渡しながら、「憎きザラストロをこの刀で刺し殺しなさい!さもなくば、おまえなど勘当よ!キーッ!!!」とヒステリックに歌います。『魔笛』の中でも一番の聞かせどころ。ここで夜の女王がぐぐっと盛り上げてくれませんと、オペラ全体が引き締まらない大切なアリア。YouTubeで見つけたいくつかをご紹介。

■Luciana Serra _ Der holle rache_ Mozart

まずは、ルチアーナ・セラのどっしりと貫禄のある夜の女王。

Natalie Dessay : "Der Hölle Rache"

ゆったりめのテンポ。ナタリー・デセイ(ドゥセ)のちょっといらだった普通の奥様風、夜の女王。

■Dessay performs "Der Hölle Rache" from "Die Zauberflöte"

同じ歌手でもこちらは、きちんと夜の女王らしい夜の女王に。指揮者や舞台監督によってこんなにも変わる、ということなのでしょうか。前半、娘パミーナ役の歌手と仲が悪いのではないかしら?と思ってしまうほど、目に憎しみが込められ、真剣に床に突き飛ばしている(ように見える)のが怖いのですが、中盤からの葛藤する母の表情がなかなかよいです。

Edita Gruberova - Der Hőlle Rache kocht in meinem Herzen

私が一番好きなソプラノ、エディタ・グルベローヴァ。ボリュームを大きくしても意外と高音が響いておりませんし、オーケストラとずれてしまうし、でもうひとつ。大ファンなので、期待が大き過ぎたのかもしれません。彼女はやはり、甘く、柔らかい声を必要とする役が合っているような。

Diana Damrau as Queen of the Night II

そして、今、一番聴いてみたい夜の女王、ディアーナ・ダムラウ。なんと幸運なことに、来月、ドイツで観る予定の『魔笛』の夜の女王は彼女。楽しみ!歌はもちろんなのですが、演技力が素晴らしい。ヒステリックな声と、狂気を含んだ目の怖さが素敵。ただ来月の公演、ザラストロ役のクルト・モルがこの夏突然引退をしてしまい、一月前の今になってもキャストが「未定」になっているのが少々不安。

■Boy Magic Flute (Die Zauberflote), Mozart

番外編 :なんと可愛らしい。お見事。ご褒美に、おば様、ぎゅっと抱きしめてあげたいです。