『羊飼いの娘と煙突掃除の男の子』



昨日届いたクバシュタの絵本の中に、『アンデルセン・羊飼いの娘と煙突掃除の男の子』、という本がございました。私は、この物語を寡聞にして存じ上げませんで。
知人に訊ねたり、調べてみましたところ次のようなお話とのこと。

あるお屋敷の古い木製の棚に、陶器で作られた羊飼いの娘と煙突掃除の男の子の置物が飾られていました。少し離れた所には、やはり陶器でできた、首がかくかくと動くしかけの中国人の人形の置物もありました。そして、棚には角の生えた不気味な男の彫り物がありました。
羊飼いの娘と煙突掃除の男の子は恋人同士。でも、中国人の置物は、羊飼いの娘を支配し、不気味な角の生えた男と結婚させようとしていました。
娘はいやがり、煙突掃除の男の子に、連れて逃げてくれるよう、頼みます。夜中になり、2人は煙突を使い屋根まで上ります。初めて目にする、真っ暗な空、街並みの、そのあまりの広さ、大きさに娘は怖気づいて泣き出してしまいます。
2人は外の世界へ出て行くことを諦め、もとの場所に戻るのですが、そこには、2人を追いかけようとして棚から落ちてしまった中国人の人形が、かくかくを首を動かしたまま割れて壊れていました。2人はもとの棚の上に戻り、その後はずっと仲良く一緒に過ごしました。

この物語を元にして、ポール・グリモー(監督・脚本)、ジャック・プレヴェール(脚本)によって作られましたのが、邦題、『王と鳥』とその前身『やぶにらみの暴君』という作品。若き日の宮崎駿監督も強く影響を受け、この、『王と鳥』が作られなければ、スタジオジブリは存在しなかったであろう、と言われているほどの作品とのこと。こちらは、羊飼いの娘も煙突掃除の男の子もお城に飾られた絵、支配者である中国人は、やぶにらみで孤独で無慈悲な王、という設定になっているようです。
YouTubeでそのほんの一部分ですが見ることが。ご興味がおありでしたら、[le roi et l'oiseau]で検索を。アニメーションはもちろん、音楽もとても素敵。