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子供の頃。ずいぶん小さな頃から、お手伝いとして靴磨きを任されておりました。物心がついた時にはすでに、玄関に座り込み、ずいぶん長い時間をかけて、父の靴、母の靴、自分の靴、そして弟が生まれましてからは弟の靴、を磨いていたように思います。
クリーナーで汚れを落とし、靴の色に合う靴墨を選び、まずは大きなブラシで、細部は古い歯ブラシで靴墨を塗りこみ、布で拭き上げ、ぴかぴかに磨き上げた靴をうっとりと見つめる。
靴磨きは嫌いではなかったのですが、子供の手に何が辛かったかと申しますと、靴クリームの缶の蓋を開けること。指が滑ってしまってなかなか開けることができず、泣きたくなることもしばしば。缶の横に付いた金具を使えば簡単にパカッと開けることができる、と知ったのはずいぶん大きくなりましてから。どうして両親はこの便利な金具のことを、早く教えてくれなかったのでしょうか。娘がそんな事でてこずって悲しい思いをしているとは知らなかったのかも。
靴磨き道具の入った木の箱に必ず数種類入っておりましたのが、現在でも愛用しております、KIWIの靴クリーム。KIWIにつきましてはこちらに素晴らしい解説がございまして、お勉強をさせていただきました。件の金具、「とんぼ」と呼ばれているのだとか。