3月28日(水)膵臓食Ⅱと、初めてのMRI



朝:全粥
  かぶみそ汁
  ソラ豆含め煮
  ブロッコリー浸シ
  キーウィフルーツ
昼:全粥
  麻婆豆腐 ササミ
  ホウレンソウカカ和 人参
  ヨーグルト
夕:全粥
  かぶら蒸 白身
  Gアスパラ浸し 
  くずきり
  リンゴ缶

『すいいち』を1日食べても腹痛などの症状がでませんでしたので、この日より、『すいに』固形物ありの食事へ移行。果物アレルギーがあると伝えてあったのですが、出てしまった為、再度伝え、以降メニューには、『特殊オーダー・生フルーツ禁』と赤く表示。柑橘やベリー類など大丈夫なものもあるのですが、あまりややこしいオーダーをするのも申し訳ないので、生フルーツは全てNGということに。
件の賑やかな膵炎患者のおじ様は、朝食後、「余は満足しておらんぞー!」と叫んでおられましたが、昼食時には「おおっ!」と喜びの声を。おそらく、麻婆豆腐が出たことに感動されたのでしょう。ささみを使ったぼんやりとした味付けのものでしたが、それでも久々のお肉はありがたいもの。
さて、前日I先生から、「心配はいらないものだが、膵臓に小さな嚢胞がある。念のためにMRIの検査をしましょう」とのお話があり、この日は朝からMRI(核磁気共鳴画像法、Magnetic Resonance Imaging)の検査へ。
MRIも、造影剤を使う検査と使わない検査があるそうですが、今回は造影剤はなしとのこと。それでも、『MRI準備票』というものを渡され、閉所恐怖症の有無、心臓ペースメーカーや、人工関節、入れ歯等の使用の有無。入れ墨、アートメイクをしていないか、などの細かいチェックがあり、最後に確認の署名を。虫歯治療の金属について質問したところ、これは問題なしとのこと。入れ墨やアートメイクがダメなのは、色素に金属が含まれていることがあり、変色をしたり、火傷をしたりする可能性があるからなのだとか。ラメ入りのメイクも、同じ理由でダメとのこと。キラキラのアイシャドウでMRIの検査を受けて、終わった時にはまぶたが火傷、などということになりましたら大変。婦女子の皆様、MRI検査の日は基本、ノーメイクだそうでしてよ。私もこの話を聞いたのが、装置に入る直前だったため、装置の中に入ってしまってから、(ああっ、そういえばラメ入りのネイルを除光液で落としてはきたけれども、もしかしたら爪の端に少し残っているかも。今度こそ指が熱いの、どころではなくて指先から火花がばちばちだったりして、どきどき)、と心配したのですが、きちんと取れていたようで検査が始まりましても特に問題はなく、ほっと。
話は前後いたしますが、朝8時前の検査だったにも拘らず、検査室はスーツ姿の立派なおじ様方がうろうろ。皆さん上着を脱ぎ、ネクタイ、ベルトを外し、携帯、ライター、カードなど、金属を誤って持ち込まないように細かくチェックを受けて、次々検査室の中へ。おそらく検査を終えたら直接仕事に向かうのでしょう。MRIの検査を受けるような病を抱えながらも仕事、仕事。大変。
と、他人事ながらため息をついているうちに、私の順番。検査室の中からは、ドーンドーンドーンドーン…と低く不気味な音が。シューシューという呼吸のような音も聞こえてまいりまして、まるで邪悪な生物の体内に入っていくかのよう。ぶるぶる。そう、実際、検査室というのはとても寒いのです。CTの検査室もそう。このMRIの検査室もそう。これにもきちんと理由があるそうで、「室温が高いと装置が壊れやすい。装置を冷やさなければいけないので、室温は低く設定している。ので、寒い。機械に優しく、患者さんに優しくない、検査室なんです」、とは、ある看護師さんから伺ったお話。
室内に響く音と、漂うただならぬ気配に怯えつつも、早速細長い寝台に横たえられ、お腹の上に重たいお座布団のようなものを乗せられベルトで固定。手には「何かあったらこれで知らせてください」と、小さな空気入れのようなものを渡されて装置の中へ。白い小さなトンネルの中に、みっちり押し込まれるような感じ。噂には聞いておりましたがとても狭く、圧迫感があります。目の前に迫るかまぼこ型の天井。もう一つ聞いておりました噂が、音の凄さ。まるで工事現場の真ん中に放り込まれたかのような、「ガチャンガチャンガチャン…」というもの凄い音がするとのこと。なんでも最近ではヘッドホンで音楽を聞かせることにより、だいぶその煩さは解消されている、という話も聞いたのですが、あら、私はヘッドホンなしではありませんか。忘れてしまったのかしら、などと考えているうちに、検査開始。
「では、検査開始しまーす」とのアナウンスがあり、さあ、ガチャガチャが始まるのね、と構えましたが、聞こえてまいりましたのはけたたましいサイレン。ぐわあ。何か装置のトラブル?きっとそうだわ、逃げなくては?とドキドキしておりますと、いつもの、「はい、息を吸って、吐いて、止めてください。はい、楽にしてください。」のアナウンスが。撮影中はずっと、先ほどと同じサイレンが鳴り続けております。え、これでいいの?と思いながらも、もう言われるがまま。続いて、今度はまた別の種類のまたまたけたたましいサイレンが。一瞬静かになり、撮影が始まると、また同じサイレンが鳴り渡る。また別の種類のサイレン、次の撮影ではまた違うサイレン…。それがひたすら繰り返されます。「空襲警報!」、「不審者侵入!」、もしくは、「危険エリアにつきただちに退去せよ!」といったサイレンをいったい何種類聞いたでしょう。どうやら私が検査を受けたMRIの装置は、噂の「ガチャガチャ」タイプではなかったようです。時間にして15分ほど。ようやく狭いトンネルから出され、ベルトを外し、お座布団を取り、検査終了。ふう。


3月29日(木)膵臓食Ⅱ、栄養相談




病院の食事は、このようなワゴンで運ばれてまいります。これがよくできておりまして、トレイをローラーに挟み込むようにしてセットするのですが、間仕切りを境に片側は保温、片側は保冷、になっているのです。温かいものは温かく、冷たいものは冷たく。よく考えられております、ぱちぱち。
さて、担当医師より、「退院後の食生活について、栄養士さんから指導を受けてくださいね」とのお話があり、この日のイベントは『栄養相談』。朝食後、今日はついに許されて自力で歩いて栄養相談のお部屋へ。最初、地下の部屋だと聞いておりましたので、そこにまいりますと、相談室は2階とのこと。検査に向かうのと同じ、パジャマ一枚にスリッパといういでたちで向かってしまったのですが、なんと栄養相談室は外来患者のロビー脇。多くの外来患者の中で、パジャマ姿で一人ふらふら、という少々恥ずかしい状況に。なんとかたどり着きまして、にこにことお優しそうな栄養士さんの指導開始。
膵臓食Ⅰ、Ⅱ、と上げてまいりまして、明日からは膵臓食Ⅲになる予定。この膵臓食Ⅲレベルを、まずは一ヵ月後に予定されている、I先生の診察までの間は続けるようにとのお話。膵臓食の一番のポイントは脂質カット。お肉の脂身はもちろん、魚も青身魚、大トロなど脂の多いものはだめ。てんぷら、霜降り牛のステーキ、フレンチ、うなぎ、生クリームたっぷりのケーキなどは遥か彼方にあると思ってくださいとのこと。
動物性のたんぱく質で使える食材は、鶏のささみと、白身魚、卵。そのほか、無脂肪乳、(低脂肪乳も可)、脱脂粉乳、豆腐、などを組み合わせてたんぱく質を摂らなくてはいけません。さつま揚げ、生揚げ、がんもどき、もだめ。野菜、穀物、いも類はたっぷり。果物もコンポートにしたものをなるべく毎食欠かさず。注意するのは、アボカド。これは畑のバターというだけあり、脂質たっぷり。ゴマ、ナッツ類も脂分が多いので避ける。味付けは神経質にならずに、満足のいく味付けにしてよい。但し、香辛料など刺激の強いものはだめ。調理法は煮る、蒸す、油を使わずに焼く。炒める、揚げるは×。レシピとしましては、お肉はささみ、魚は白身、とぱさつく素材が多いので、あんかけにしたり、大根おろしを添えたりして工夫してくださいとのこと。飲み物は、コーヒーは控え、紅茶は濃過ぎなければ可。ほうじ茶は◎。
そして、お話の終盤、私にとりましては驚くべき指導が始まったのです。栄養士さんが机にずらずらっと並べ始めましたのは、なんと、グラスに入れられたビール、焼酎、ワイン、日本酒、ウィスキーなどの、「1日にこの程度なら適量です」という食品サンプルのようなもの。栄養士さんからは、「今後、医師から許可が出た後も、1日のアルコール摂取量はこの程度に抑え、飲み過ぎないようにしてくださいね」との言葉が。(え?また飲めるんだわ!)、満面の笑みを浮かべてしまいそうになるのを押さえつつ、にっこり頷き、「はい、わかりました」。ああ、信じられません。指導があったということは、また飲める日が来るということ。アルコール依存症ではありませんので、飲まずにいられないということはないのですが、やはり美味しくお酒をいただくのは大好きですので、たとえ舐める程度でもまた飲めるのなら飲みたい。食事制限の大変さよりも、またお酒をいただけるかもしれないことへの期待に胸膨らませ、足取りも軽く、病室へ。
午後、I先生が病室を訪れ、「栄養指導受けてきた?そう、大丈夫ね。まあ、食事はどうでもいいんだけど、問題はこっちねこっち。」とまた手首をくいくい。「これさえ、やめられれば再発はないから」と。そう、やはりこの病気にはアルコールが一番よくないのですよね。ここで、「栄養指導でお酒の飲み方の指導もありましたが」、などという話をしても、「だめだめ、絶対禁酒ね」、と言われるに決まっておりますので、完治いたしまして、食事も普通食に戻りましたら、「少しなら飲んでもいいです」、という許可いただけるよう、再度お願いをしてみることに。「食事をどんどん上げていってるからその様子を見ながらだけど、このまま順調にいけば、31日(土)には退院かな」、との嬉しいお話が。