3月26日(月)親指が、熱い



午前中、採血他の検査の後、CT、レントゲンへ。車椅子で連れて行ってくださるとのお話なので、「もう一人で歩いて行けます」と伝えたのですが、許可されず。
シャワーの許可は出たので、午後1時から予約を。私がおりました階には、お風呂とシャワールームがあり、30分単位でその日の朝から早い者勝ちで予約ができるのです。とは申しましても、入院患者数に対して枠はたっぷりございますので、シャワーの許可さえ出ればいつでも好きな時に利用が。
CTの検査ではまた造影剤を使うとのことで、アレルギーや既往症についての問診と使用承諾へのサインを。前回、20日にCTの検査の後、21日にかけて吐き気があったのでその旨を伝えると、造影剤の副作用としての吐き気は、注入直後に起きることが多いので、翌日というのは副作用の可能性は低いが0とはいえない。今回、もしも気分が悪くなったらすぐに知らせてください、とのことで検査続行。ホワイトドーナツの中へ。前回と同じ、まずは造影剤を使わない撮影の後、造影剤を注入、そして撮影という手順。検査技師のお兄ちゃまが、「この前、救急でいらした方ですよね」、とおっしゃいますので、「あ、覚えていてくださったんですか。あれから造影剤を打つ機会はありましたか?」と訊ねると、笑って「いえ、残念ながらまだ」と。
さて、副作用の心配が少々あるものの、二度目とあって余裕綽々。またふんわりとした温もりに包まれるんだわー、と「はい、造影剤入ります」のアナウンスに、はいはいどうぞ、と思っておりましたら。(ええっ?!あ、熱いわ、熱い、親指がすごく熱いの…。)手を頭の上で軽く組んだ状態で横たわっているのですが、その両手の親指がものすごく熱いのです。容赦なく検査は進み、「息を吸って…吐いて…そのまま息を止めてください。………楽にしてください。」のアナウンスに従って撮影。これはもしや、造影剤が両手の親指の辺りにかたまって入ってしまったのではないかしら、それでもちゃんと膵臓の撮影ができるのかしら、などと考えつつも、もうどうにもなりません。撮影終了後、お兄ちゃまに様子を聞かれ、「前回とぜんぜん違ってました。両手の親指がすごく熱くて。造影剤というのは、毎回同じように感じるものではないのですね」というと、「そのようですね」とそっけないお答え。この、造影剤によって感じる熱さ、温かさというのは一瞬ですぐに消えるものではあるのですが、いやはや、びっくりいたしました。またまた脳内では、「……親指が熱い…」と、伊東ゆかりの『小指の思い出』の替え歌作成に入ったのですが、字余りでまとまらず。
そのまま車椅子でレントゲン検査へ。腹部は撮らず、胸部のみ。
病室に戻り、一休みをしてシャワー。点滴を外してもらい、といっても針はそのままで、点滴を止め、チューブを外してキャップをし、ゴム手袋を応用したカバーで防水をしていただきまして、洗面器に石鹸、シャンプー、タオル、着替えなど一式を用意してシャワールームへ。一週間ぶりのシャワーで、全身すっきり。
午後、I先生から、アミラーゼの数値が100と正常値に戻ったこと、炎症反応も0になったので、夕食から重湯を出してみます、との嬉しいお話が。膵炎の慢性化などについて質問をすると、「禁酒さえ守れれば、再発はしませんよ」とのことで、ちょっと安心。でも悲しいかな、本当にもうお酒は一生飲めないのかもしれません。まあそれならそれで仕方がないことなのですが。大好きなコーヒーも控えるように言われ、「コーヒーがだめなら、紅茶を飲めばいいじゃないの。」と、気分はちょっとなげやりなマリー・アントワネット


おもゆー!!!




さてさて、楽しみにしておりました夕食の時間。がらがらという病院食を運ぶワゴンの音も今宵は心なしか耳に心地よく響きます。そして夕食が配り始められ、配り終えても…まいりません、私の大切な重湯が。どうしたのかしら。まさか何か問題があって中止になったとか?そんなあ。ちょうど様子を見にきてくれておりました母が、看護師さんに訊ねると、「あ、許可された時間が遅かったから間に合わなかったのかもしれませんね。でも今すぐに作ってもらって持ってきますから大丈夫ですよ」と。ああ、よかったです。「これで間に合わなかったようですから明日」、などと言われたら泣いてしまうところ。
さて、待つこと15分ほどで届けられました。うわあ。トレーに重湯がぽつんと置かれた姿を想像しておりましたものですから、品数の多さに感激。最初からこんなにいっぱいいいんですか。わーい。ありがたやありがたや。思わず手を合わせ、頭をたれて感謝を。
メニューは、『膵臓食Ⅰ』、通称『すいいち』。重湯、塩5グラム、野菜スープ、桜葛湯、ヨーグルトムース、ほうじ茶。ゆっくりと、全部いただきました。嬉しい嬉しい。水っぽいものばかりでもうお腹はがぼがぼですが、とても満ち足りて幸せな気分。この後、6日ぶりの食べ物に体がびっくりしたようで、トイレへ駆け込んだのですが、それでもとても幸せ、でにんまり。やはり、養分は口からとらなくては。


3月27日(火)膵臓食Ⅰ、と恐怖の点滴針交換



※夕食

朝:三分粥
  みそ汁
  甘藷煮こし
10時:ハネーくず湯
昼:三分粥
  豆腐スープ
  白菜煮こし
  スキムミルク さとう
15時:黄桃ネクター
夕:三分粥
  魚みそスープ
  煮豆煮こし ウズラ
  スキムゼリー
※ハネー、は蜂蜜
※煮こし、というのは柔らかく煮て、こしてあり、原形はとどめず。

三食の他、おやつまで。ありがたや。
この日、入院時からずっと右手だった点滴の針を感染症を防ぐ意味からも左手に移すとのこと。交換にまいりましたお若い先生は慣れていらっしゃらないようで、てこずるてこずる。男性ですのに、何にそんなに力が必要なのか腕がぶるぶる震えるほど力を込め、(なんだか怖いわあ、大丈夫かしら)、と思った瞬間「あっ!」という声とともに、何らかの作業に失敗し、手が滑ったようで、飛び散る血しぶき。本当に怖いったら。医師、暫くの放心の後、黙って飛び散った血をふき取り、「大丈夫ですから」と静かに呟き、再びチャレンジ。なんとか無事に入れることができたよう。いやはや。でも今でも、その点滴後は血管が少し膨れて固くなってしまっている部分があるので、本当はあまり大丈夫ではなかったのではないかしらん。
そういえば、私も知らなかったのですが、長期間使用する場合の点滴針というのは、金属の針ではなく、樹脂製の細いチューブの針を使うのだそうです。血管に刺し入れる時には金属の針も一緒、でその金属の針だけを抜くと外筒のチューブの部分だけが残るような仕組みなっているのだとか。ですから、眠っている間に腕を変に動かして針が血管を突き破るのではないか、という心配はいらないとのこと。
でもまあ何にいたしましても、採血など、血管針刺し関係は、お若い先生方よりも、慣れている看護師さんの方がずっとずっとお上手。点滴の針はお約束があるようで必ず医師が行っておりましたが、担当するのはほとんどが若いお医者さま。私以外の患者も、なかなか上手に入らなくて、結局看護師が手伝ったり、こっそり横からアドバイスをしたり、後で手直ししたりすることが多かったよう。ここはもう、注射針関係は全て看護師の仕事、としていただいた方が患者にとりましてはありがたいような。