3月29日(木)膵臓食Ⅱ、栄養相談




病院の食事は、このようなワゴンで運ばれてまいります。これがよくできておりまして、トレイをローラーに挟み込むようにしてセットするのですが、間仕切りを境に片側は保温、片側は保冷、になっているのです。温かいものは温かく、冷たいものは冷たく。よく考えられております、ぱちぱち。
さて、担当医師より、「退院後の食生活について、栄養士さんから指導を受けてくださいね」とのお話があり、この日のイベントは『栄養相談』。朝食後、今日はついに許されて自力で歩いて栄養相談のお部屋へ。最初、地下の部屋だと聞いておりましたので、そこにまいりますと、相談室は2階とのこと。検査に向かうのと同じ、パジャマ一枚にスリッパといういでたちで向かってしまったのですが、なんと栄養相談室は外来患者のロビー脇。多くの外来患者の中で、パジャマ姿で一人ふらふら、という少々恥ずかしい状況に。なんとかたどり着きまして、にこにことお優しそうな栄養士さんの指導開始。
膵臓食Ⅰ、Ⅱ、と上げてまいりまして、明日からは膵臓食Ⅲになる予定。この膵臓食Ⅲレベルを、まずは一ヵ月後に予定されている、I先生の診察までの間は続けるようにとのお話。膵臓食の一番のポイントは脂質カット。お肉の脂身はもちろん、魚も青身魚、大トロなど脂の多いものはだめ。てんぷら、霜降り牛のステーキ、フレンチ、うなぎ、生クリームたっぷりのケーキなどは遥か彼方にあると思ってくださいとのこと。
動物性のたんぱく質で使える食材は、鶏のささみと、白身魚、卵。そのほか、無脂肪乳、(低脂肪乳も可)、脱脂粉乳、豆腐、などを組み合わせてたんぱく質を摂らなくてはいけません。さつま揚げ、生揚げ、がんもどき、もだめ。野菜、穀物、いも類はたっぷり。果物もコンポートにしたものをなるべく毎食欠かさず。注意するのは、アボカド。これは畑のバターというだけあり、脂質たっぷり。ゴマ、ナッツ類も脂分が多いので避ける。味付けは神経質にならずに、満足のいく味付けにしてよい。但し、香辛料など刺激の強いものはだめ。調理法は煮る、蒸す、油を使わずに焼く。炒める、揚げるは×。レシピとしましては、お肉はささみ、魚は白身、とぱさつく素材が多いので、あんかけにしたり、大根おろしを添えたりして工夫してくださいとのこと。飲み物は、コーヒーは控え、紅茶は濃過ぎなければ可。ほうじ茶は◎。
そして、お話の終盤、私にとりましては驚くべき指導が始まったのです。栄養士さんが机にずらずらっと並べ始めましたのは、なんと、グラスに入れられたビール、焼酎、ワイン、日本酒、ウィスキーなどの、「1日にこの程度なら適量です」という食品サンプルのようなもの。栄養士さんからは、「今後、医師から許可が出た後も、1日のアルコール摂取量はこの程度に抑え、飲み過ぎないようにしてくださいね」との言葉が。(え?また飲めるんだわ!)、満面の笑みを浮かべてしまいそうになるのを押さえつつ、にっこり頷き、「はい、わかりました」。ああ、信じられません。指導があったということは、また飲める日が来るということ。アルコール依存症ではありませんので、飲まずにいられないということはないのですが、やはり美味しくお酒をいただくのは大好きですので、たとえ舐める程度でもまた飲めるのなら飲みたい。食事制限の大変さよりも、またお酒をいただけるかもしれないことへの期待に胸膨らませ、足取りも軽く、病室へ。
午後、I先生が病室を訪れ、「栄養指導受けてきた?そう、大丈夫ね。まあ、食事はどうでもいいんだけど、問題はこっちねこっち。」とまた手首をくいくい。「これさえ、やめられれば再発はないから」と。そう、やはりこの病気にはアルコールが一番よくないのですよね。ここで、「栄養指導でお酒の飲み方の指導もありましたが」、などという話をしても、「だめだめ、絶対禁酒ね」、と言われるに決まっておりますので、完治いたしまして、食事も普通食に戻りましたら、「少しなら飲んでもいいです」、という許可いただけるよう、再度お願いをしてみることに。「食事をどんどん上げていってるからその様子を見ながらだけど、このまま順調にいけば、31日(土)には退院かな」、との嬉しいお話が。