緊急入院



ここで、この後私の主治医となります、I先生が登場。
I:「膵炎であることは間違いないです。お酒、かなり飲むでしょう。」
e:「いえ、それほどでも」。普段飲んでいる量を説明しますと、
I:「その程度ではこうはならない」
e:「このところ、仕事が忙しかったりストレスがあったりもしまして」
I:「あ、じゃそれもあるかも。でも、そうとう飲まないとこうはならないから。もうこれからは絶対禁酒ね。」
e:「ええっ!、もう一生お酒は飲めないんですか?」
I:「一生とは言えないけど、まあ、もうお酒はやめたほうがいいね。飲んで再発する人多いし。今からすぐに緊急入院してもらうから。」
e:「やはり入院ですか。先生、私明日誕生日なんですよ。シャンパン飲むのを楽しみしていたのに」
I:「…禁酒しなさい禁酒。のん気なこと言ってるけど、数値は近年稀にみる悪さ。この後重症化した場合、3割ぐらいの確立で死ぬから。医者仲間で、急性膵炎って言ったら、ああ、それは怖いね、っていうような病気だよ。」
e:「はい。お腹痛いぐらいで、救急で見ていただくの申し訳ないかと思っていたのですが、来てよかったです。」
I:「そう、今朝発症で今でしょ。せめて早めに病院に来たのはよかった。もう2、3日してから来ていたら命はなかったよ」
e:「はい。よかったです」
I:「治療としては、一週間の断食と点滴。水も一滴も飲んではだめ。どうしても我慢できなかったら、氷で唇を湿らす程度。自分の消化酵素で自分の膵臓を消化しちゃっている状態。何しろ口から何かが入れば消化酵素を出してしまう。今も膵臓は溶け続けているんだからね。」
e:「うわ。どのぐらいでよくなりますか?」
I:「うーん、重症化しなければ二週間ぐらいかな。私が主治医になると思います。なにしろ、隠れてなんか飲んだり食べたり、絶対にしないことね。隠れてお酒なんか飲んだりしたら、それこそ死んじゃうからね。」
e:「はい、わかりました。絶対にしません。きちんと言いつけを守る、いい患者になりますので、治してください、宜しくお願いします。」
I:「あと、尿の量がとても大事だから、ちゃんと測定してね」
続いて事務の人がまいりまして、入院診療計画書にサインをしたり、差額ベッドの料金を了承したり、の手続きがあった後、車椅子で病室へ。この間、少し離れたところから、I先生の、「本人、のん気にしてるけど、命に係わる怖い病気だからね。」と看護師達に伝える声が。