病室へ



家族に連絡をしてもいい、との許可が出ましたので、急ぎ娘と母に、病名と緊急入院することだけを携帯から電話。すぐに看護師さんから「お迎えですよ」と声がかかり、車椅子で病室へ。この時、母との電話を、「あ、お迎えがきちゃったから。じゃあね。」と言って切ってしまったので、(お、お迎えが来ちゃった?……)と、母は心配で眠れなくなってしまった、と後から聞きました。おかしな切り方をして申し訳なかったです。
さて、案内されましたのは消灯後の暗い病棟。隣のベッドが空いている二人部屋。まさか入院になるとは思わず、何の用意もしておりませんでしたので、とりあえず検査着というものを借り、それに着替え、ベッドに。すぐに3つもの点滴が開始。心電図モニタが胸に取り付けられ、検温、血圧、血中の酸素、などの測定。当初、トイレにも車椅子で、という話だったのですが、そういたしますと、ナースコールを押して、看護師さんを呼び、連れて行っていただかなくてはいけません。この頃には強い痛み止めが効いてまいりまして、お腹の痛みはだいぶ楽になり、歩けるようになっておりましたので、それを伝え自分で行けることに。
トイレに行く際の注意点、しなくてはいけないことを看護師さんに教えてもらったのですが、これが慣れないうちはなかなかに難儀でした。まず、点滴台に取り付けられた微量点滴用の装置のコンセントを抜き、心電図モニタのコードを装置から抜き、3つの点滴プラス、重い微量点滴の装置が付き、頭でっかちでバランスの取りにくい点滴台をがらがらとひっぱって暗い廊下をトイレまで。名前の書かれた採尿用のおまるを手に、狭い個室に点滴台と共に入りまして、点滴のチューブやらモニタのコードやらを捌きながら、おまるを設置。用を済ませ、おまるを外し、ウォシュレットを使い、出ましたら、今度は採尿装置の前へ移動。タッチパネルで自分に割り当てられた番号を押し、蓋が開いたら尿を入れ、測定。終わりましたら、おまるを洗い、手を洗い、またがらがらと点滴台を引いて病室へ。点滴の装置にコンセントを繋ぎ、モニターにコードを差込み、ベッドに横たわって完了。ふう。
しかも、この夜の病棟はたいへん慌しく、ナースコールは鳴りまくり、看護師さんは走りまくり。そこかしこから苦しそうな呻き声や「うー、痛いー。痛いー!!!」の叫び声が聞こえ、物心つきましてからは出産での入院経験しかない私としましては、病院の夜というのはこんなに騒がしく恐ろしいものなのかとびっくり。私の病室にも、点滴の交換や、血圧などのチェックのために入れ替わり立ち替わり看護師さんが訪れ、入院最初の夜はとてもゆっくりと眠ることができる状況ではありませんでした。