ロートレック展、再び



仕事が早く終わりましたので(仕事をさっさと終わらせてしまい、の方が正確かもしれません)、サントリー美術館へ。金曜日の夕方の美術館は、空いておりましてとても静か。
今日は1時間以上かけ、音声ガイドも丁寧に聞きながら、ゆっくりと観賞。女優やダンサー達の絵は、並べて展示された画像と見比べましても、実像よりも美しく描かれているものはまずありません。特徴が滑稽なほど強調されておりまして、彼女達が、ロートレックにポスター制作を依頼するのを嫌がったという話も理解できます。それでも、写真の彼女達よりも、ロートレックによって描かれた姿の方が、ずっと印象深く、魅力的。娼館に入り浸り、娼婦達の日常のふとした仕草を描きとめたリトグラフは、たるんだ肉、目の下の皺、気だるい目、加齢、などが、容赦なく描かれています。でも、ロートレックの「醜さの中には必ず美しいものが隠されている。それを見つける時、僕はたまらなく嬉しい」、という言葉の通り、その姿は少しも不快ではなく、愛おしく、美しく、見えるのです。
作品だけではなく、会場では、当時のパリの様子を映した映像の放映や、扇子と人形を手に、まるでお雛様のような仮装をして微笑むロートレックの写真なども展示。そう、映画、『ムーラン・ルージュ 赤い風車』のいくつかのシーンも紹介されておりまして、またこの映画を見直したくなりました。会期は3月9日まで。レギュラー会員になっておりますので、見ようと思えば毎日でも見ることができる。「入ってよかった!サントリー美術館のメンバーズ・クラブ」、という感じです。