節さんのお話、続き



渡米してすぐに離婚。龍は、みどりが17歳の時、再婚した夫との間にできた子供。
まだ龍が小さかったある日のこと、アパートのドアマンが、「どうしておまえの息子は幼稚園に行かないのか?」と。「いいのいいの。うちの子は、家でヴァイオリン弾いてますから」、と答えると、「それはあかん!幼稚園は義務教育や」。という話を聞いて、慌てて幼稚園を探したがどっこも欠員なし。「幼稚園が義務教育だと知ったからには、もう龍を連れて町は歩けない。捕まるかもしれなし。心配で夜も眠れない」とみどりに話すと、「まかしとけ!」と言う。「どんなコネがあんねん?」と訊くと、「セント・ディビッド・スクールという男子校の、音楽の先生を知っている」、と言ってすぐに頼みに行ってくれたが、「空きが出たらすぐに知らせる」、との答え。みどりは、「必ず、すぐに連絡ください、と頼んで帰ってきたが、これは、とどめを刺しとかんとあかんなあ」、と言って、再び学校へ。この学校は、ニューヨーク市長の息子や、イランのシャーの息子が通うような学校。「私が、ファンドレーズン(寄付金集め)のためのコンサートをしましょう」、と申し出、コンサートをしたところ、寄付が集まった。学校側は、「来年もやってくれるか?」、「もちろん。弟を入学させてくれるなら、いつでも」、「じゃ、弟さんOK」、ということで龍の入学が許可された。