「失敗に学ばない音楽事務所」



TICKET CLASSICの6月号。音楽評論家の黒田恭一さんのコラムのタイトルです。音楽事務所で働く者といたしましてはどきっとするタイトル。

有名で価格の設定が半端ではない高級レストランなのだから美味しいにちがいない。世界的に著名なブランドなのだから、それを身に着ければ格好いいと思われるに違いない。そのように考えてしまうお人好しがいるように、海外から来るオペラの、目玉の飛び出るような高額なチケットを買ったのだから、たいへんな感動を味わわせてもらえるものと胸躍らせる善良過ぎる聴き手もいる。(6月来日のボローニャ歌劇場のS席は57,000円!)
ところが、公演に対する熱意もなく、音楽的な判断も持ち合わせず、ただ、儲け仕事の一つとして処理されている公演が多い。そういった公演は会場の雰囲気も寒々しく、また、会場の選択のミスなどをその後に教訓として生かさないため、公演を重ねるごとにだんだん空席が目立つようになる。
看板に依存して努力を怠れば、レストランだってブティックだって、やがては客に見放される。コンサートを選ぶときにも、どの音楽事務所がマネジメントしているのかを、もっと気にかけてみてはどうか。音楽を愛する思いを胸にしまった良心的な音楽事務所もあれば、ソロバン勘定にばかり熱心な儲け主義の事務所もあるのだから。

といった、とてもわかりやすく、納得のいくお話。音楽事務所で働く人間として、このお話は忘れずにいたいと思います。
黒田さんのお話、勝手に要約させていただいてしまいましたが、チケット・クラシックはホールなどに置かれている無料の冊子でもございますので、ご興味がおありの方は手にとられてぜひ全文を。