女優




昨日の午後は、ずっとソプラノリサイタルのリハーサルに立会い。テノールをゲストに、プログラムにはオペラのアリアや二重唱もございますので、ソプラノ歌手の友人という女優さんが振り付けのアドバイスに来てくださいました。この方、私は寡聞にして存じ上げなかったのですが、名だたる演劇賞をいくつも受賞されている、その世界ではたいへん有名な女優さんであるとのこと。とは申しましても、にこにこと穏やかでごく普通の女性。ところが、ところがです。振り付けを指示するために、少しでも「演じ」ますともう…「さぁ、マヤ。仮面をかぶるのよ、仮面を…。」そう、そこには「ガラスの仮面」の世界が。
「こう、支えがないととても立っていられない、という感じで…」とよろめくと、哀れ瀕死の女が。「見上げれば夜空が…」と顔をあげれば、そこには満点の星空が。衣装や舞台装置が目に浮かび…瞬時に、別世界に引き込まれるような感覚が。いやはや。天賦の才と、おそらく弛まぬ努力とで身につけられたものなのでしょうが、さすがプロの女優さんの力というのはこういうものか、ただただびっくり。



パイプ煙草