うさぎ算



日本橋うさぎや」のどらやき。小さなホットケーキかと見紛うような、黄色みが強く厚みのあるふわふわの皮に、量も甘みも控えめのとろっとした餡。上野の「うさぎや」とはまた風味が違い、こちらのどらやきも大変結構なお味。
注文も上野のうさぎやのように「うさどら三さーん!」「うさどらごーごー!」と威勢のいい注文の通し方ではございませんで、丁寧にのんびりと「では、どらやきが三個、生菓子のうさぎが一個、通り小町(最中)が粒と漉し、一つずつ、で合計…八個ですね。」…ん?と、算数が苦手の小学生のように密かに指を折りつつ慌てて計算。(8個じゃなくて、6個よね。もしや、何か「うさぎや」独自の計算方法でもあるのだったりして)などと思いつつも「ええと、六個では」と申しますと、再び「どらやきが三個、うさぎが一個、通り小町が一個一個で二個…で、六個ですね。はい、少々お待ちください」、とお店の奥へ。粋な包装紙と紐で綺麗に梱包して下さるのですが、こちらもややお時間がかかってのんびり。これはこれでよい風情です。
写真は生菓子のうさぎ。このうさぎは目が無いうえに、とても柔らかく作られておりますので、持ち帰りまして箱から出してみましたら、もうどう見てもうさぎにはみえない哀れな姿に。父がこのうさぎを食べたいと申しますものですから「ちょっと変な形になっちゃって」と言いながら母と二人で粘土細工のように形を作り直しておりましたら「そんなにみんなで弄繰り回したのはいやだな」といって、結局どらやきを。せっかく可愛く、と申しましょうか、ねずみのようなシルエットになってしまったうさぎは、可哀相だと思いつつも胴体引き千切りで母と半分ずつ、美味しくいただきました。