サントリー音楽財団 サマーフェスティバル2008



ピアニスト1のご主人S氏は、作曲家にして指揮者。日本人ですが、もう長くミラノ在住でほとんど日本には帰国しない、という生活を続けていらっしゃいます。昨年の夏、3週間近く娘と孫とミラノのお宅へお邪魔した折には、美味しい手料理を作っていただいたり、観光やショッピングに付き合っていただいたり、と大変お世話になったのでした。
そのS氏が、今年のサントリー音楽財団のサマーフェスティバルで二つの公演の指揮者を務めることに。このフェスティバルでは毎年テーマとなる作曲家が選ばれるのですが、今年はイタリア、ベルガモ出身の作曲家、ステファーノ・ジェルヴァゾーニ氏。そのジェルヴァゾーニ氏直々の指名でS氏が指揮台に立つことになったとのこと。昨夕、サントリーホールの小ホールで開催されましたコンサートにご招待いただき、聴かせていただいてまいりました。
S氏の指揮を実際に拝見するのは、実はこれが始めてのこと。ばりばりの現代音楽ということで、ある程度覚悟をしておりましたが、演奏が始まり、聴こえてまいりましたのは、なんとも優しく、繊細でとても美しい音楽。もちろん、不協和音や、金属を擦るような音も多用されているのですが、それらが少しも不快ではありません。現代音楽のコンサートにありがちの、耳も心も頭も痛いわ…、という瞬間がまったくなく、かえって心地良いほど。
作曲者の特色?とも思ったのですが、同じ作曲家の作品でも、S氏の指揮の及ばぬ部分では、やや不快な音色も耳にいたしましたので、やはりこれはS氏ならではのことなのでしょう。素晴らしい。
来週は同じサントリーホールの大ホールで指揮台に立たれるとのこと。残念ながら仕事で伺えないのですが、どうかそちらも素晴らしい公演となりますように。
そういえば、最後に演奏された曲の準備の時に、椅子の上にぷちぷちを置いている奏者が数名。珍しいわ、楽器が傷つかないように?神経質な奏者が多いのかしら、などと思っておりましたら、なんと曲の途中で聴こえてまいりましたプチ、プチプチ、という音。そう、プチプチも立派な楽器として、使われていたのでした。
もう1つ、演奏途中で二度ほど、管楽器の奏者が弱音器を床に落としてカンカラカンと見事に音が響いておりましたが、あれも楽譜に指示があってのこと?だったのでしょうか。