水面を進む



地下鉄に乗り、座って本を読んでおりましたら後方で、ザザー、しゃばしゃば…、と水の音が。空耳かと思いましたが、繰り返し聞こえてまいりますので振り返りましても窓の外は暗い壁。不思議。でもやはり走り出したり、ブレーキをかけたりする度に確かに水の音が聞こえてまいります。考えますに、おそらく地上部分を走っている間に、長さのある窓枠部分に雨水が入ってしまい、それが電車の動きに合わせて流れる音かと。
目を閉じて聞き入りますと、ボートかゴンドラに揺られているかのよう。再び本を読み始めますと、まるで地下鉄が水面を進んでいるかのよう。なかなかよい音。