小さなスプーンと大きなフォーク



あるお店で、スープとベーグルのセットを注文した時のことです。運ばれてまいりましたプレートには、スープ皿に入った、たっぷりの野菜とマカロニ入りのミネストローネ。スライスされ、こんがりトーストされたベーグルとバター。小さなココット皿にはピクルス。そしてコーヒー。
食べ始めてみたところ、なんともはや食べ難いのです。この食べ辛さはどこから?と考えてみましたところ、器とカトラリーがとてもアンバランス。セットされておりましたのは、雫型の小さなティースプーンと、大きく立派なフォーク、そしてバターナイフ。バターナイフは問題ないのですが、掬う部分がマカロニの三分の一ほどしかない小さなスプーンでスープを飲み、急角度にしないと大きなフォークが入らない小さな容器のピクルスを食べる。とても難しいです。
周りを見回すと、同じセットを注文した人のプレートの上には…ちゃんと丸くて深みのあるスープ用のスプーンと、小ぶりのフォークが。あらあら。
これで私がイソップ物語の登場人物でしたら、きっと何かの仕返しか、これから私がなにかお返しをする、という展開になるところなのでしょうが、まあそのようなこともございませんで。気取らない雰囲気のお店でしたし、わざわざ新しいカトラリーを持ってきていただくまでもない、とお行儀悪くスープ皿を持ち、ごくごくとスープを飲み干し、おごちそうさま。