鈴木大介  Guitar Elaboration Vol.8



担当ピアニストの代理で、ギターの鈴木大介さんのコンサートへ。会場はHakuju Hall。受付で手渡されたチケットは、あら、A列、かぶりつき。こちらのホール、さすが医療機器メーカー所有だけあり、空間は心地よく、椅子も座りやすく、都内で一番快適かつ、寝心地の良いホール。開演いたしますと、鈴木大介さんからの距離は5メートルもないほど。お腹が鳴ったら、鈴木さんに聞こえてしまいそうな近さです。これではとても眠ることはできないわ、と思ってはおりましたが、やはりギター、しかも現代曲。途中で2ヶ所ほど、記憶が途切れた部分が。至近距離で、たいへん申し訳ないことを。
さて、今日のプログラムは、リチャード・ロドニー・ベネット:「オリエント急行殺人事件」、池辺晋一郎:カーチャのテーマ「スパイゾルゲ」より、武満徹:「弾痕」、エンニオ・モリコーネ:「ニュー・シネマ・パラダイス」、など映画音楽を多く取り上げたプログラム。アンコールの武満作品「三月のうた」、「日本の青春」も素晴らしく美しい曲でした。
鈴木大介さんのギターの素敵さは、こう、音楽の流れに身を任せておりますと、その流れに柔らかく優しくブレーキをかけられたり、ふわっと持ち上げられたり、またすっと下ろされたり、するのが感じられて、とても気持ちがいいのです。それと、私はギターのキュッ、キュッ、という音があまり好きではないのですが、鈴木さんはこの音がとても少ない。あっても、それはその音がした方がいい部分でだけさせているような。
今回は、息遣いまで聞こえてくるほどのとても近い席だったということもあり、繊細な音色はもちろん、美しい指の動きも堪能。ギターはやはり近くで聴くのがいいですね。2人きりで自分の為だけに弾いてもらう。これが理想でしょうか。