麻釜(おがま)



写真は住吉屋の前にございます、麻釜。麻釜は野沢温泉に何箇所もある源泉のうちの1つで、大釜、茹釜、丸釜、竹伸釜、下釜、の5つの湯だまりがまとまっています。麻釜、の名は昔、この湯に麻を浸して皮を剥いたことに由来しているのだとか。どの湯だまりからも90度近い湯が湧きだしておりまして、危険防止のため“湯仲間”と呼ばれる地元の人々以外の立ち入りは禁止されています。確かに、うっかり落ちたりしましたらまさに五右衛門。地元の方々は野菜などを洗ったり茹でたり、温泉卵を作るのに利用しておりまして、中にはお洗濯をしているおばあちゃまも。洗濯物に硫黄の匂いが染み付いてしまいそうですが。それがまたいいのだったりして、くんくん、嗚呼、おじいちゃんのステテコはゆで卵の香り…。
さて、野沢温泉村は、まさに野沢菜の本場。11月になると「お菜洗い」といって、この麻釜をはじめ、村中で野沢菜を洗う光景が見られるとのこと。この時ばかりは、村に12ヶ所ある共同浴場も、人の入浴よりお菜洗いが優先、となるのだそうです。野沢菜について興味がおありの方はぜひこちらを。旅館で教えていただいた野沢菜についてのお話が、わかりやすくまとめられております。