大人の男の色気



会社に送られてまいります「VOX」という情報誌。扱っておりますのはクラシックを中心に、ジャズ、美術、映画などの情報。フリーペーパーながらカラーページも多く、特別企画としてルキーノ・ヴィスコンティを特集するなど、なかなか読み応えのある冊子です。
そのVOX、今月号の巻頭インタビューが「村松友視  大人の男を語る」。音楽評論の室田尚子さんとの対談なのですが、これがとても興味深い内容でしたので少しご紹介を。

30年ぐらい前から日本の男は仕事・カラオケ・ゴルフしかなくなり、文化に触れない時間を過ごしてきてしまった。文化とは確かに生きていくうえでは無駄。でも、無駄なものを愛おしむ余裕のない男は女からみても魅力がない、色気がない。
では、色気のある男とは。ずっと我慢してきたことにようやく手を触れた、そのことを柔らかく満喫している人。例えばバーに行き、時期的にはまだ自分が飲むには早いグレードのお酒があったとしたら、どんなにお金があっても絶対に飲まない。そうやって自分に禁じてきたものにようやく爪がかかり、手が届いた瞬間。それをじわりと喜んでいる時、その人がそれまで我慢してきた時間が透けて見えてくる。そんな姿に色気を感じる。
女の色気とは。ある年齢に達して、掛け値なしの向上や成長といったものが女の色気として出る。
できるだけ多くの色気のある人を「見る」、しかも「ぼんやり見る」。ぼんやり、というのは一定の距離感を保ちつつ、相手の醸し出す物を感じ取る、ということ。本当に大人になりきるのは難しい。なりきれていない、と考え続けることが大事。

VOX、町中で普通に無料配布もされておりますので、音楽、映画、アートがお好きでしたら是非一度。