墓穴



お盆の思い出を一つ。子供の頃、母の里へ親戚が集まり、皆でお墓参りに行った時のことです。叔父、伯母、いとこなど総勢10名ほどで近くの山にあるお墓に向かって歩いておりますと、突然後方から「わぁ!」という叫び声が。驚いて振り返りますと、最後尾を歩いていた母の弟である叔父がおかしな姿勢で倒れております。皆がかけよると叔父は「あ、足が・・足が・・・」と。見ると叔父の片足は地面の中にすっぽりと入ってしまっているのです。歩いておりましたのは墓地。そう、まさに叔父は墓穴に片足を入れてしまったわけですね。笑ってはいけないと思いながらも、叔父を助け出しながらも皆で大笑い。その後、これは縁起が悪いのでは、などという話も出たようですが、あれから30年、叔父は今でも元気いっぱい、健康そのもの。良かったですね。それにいたしましても、本当に墓穴に片足を入れてしまった人というのは、世にそうはいないのではないでしょうか。

※今日の心のBGMは、バッハのカンタータ第156番「わが片足すでに墓穴に入りぬ」