弁慶



id:mijokaさんに教えていただいた、NHK講座のテキスト「日本の伝統芸能」を昨日購入。銀座に出かけました帰りのJRの中で読み始めますと暫くして「ごめんなさいね。人様が読んでいるのを覗かせていただいてしまって。そのご本は何という本か、教えていただけますか」とおば様から声をかけられました。

このテキストには歌舞伎、日本舞踏、能・狂言文楽、が写真付きで紹介されているのですが、ちょうど歌舞伎『勧進帳』の弁慶の写真が必要で探していらっしゃったとのこと。押し絵をなさっていて、その参考にされるのだそうです。

押し絵というのは、紙の台紙に綿で膨らみをつけて布でくるみ、歌舞伎の演目や動植物の絵柄を立体的に仕上げていく、羽子板などに使われている手法だそうです。で、押し絵について色々と伺っていくうちに、材料となる布がなかなか手に入りにくい上にとても高価で、少し大きな作品になると額も込みで10万近くになってしまう事もあるとのこと。「それは大変ですね。ご主人様には材料費の事は・・・」と伺うと「もちろん、内緒よぉ!」だそうです。そう、主婦には色々秘密があるんです。

ちょうど一点作品をお持ちで見せていただいたのですが、小さな色紙に春らしくスギナと土筆が数本描かれたとても美しいものでした。最近はお稽古をなさる方なかなかいらっしゃらなくて、お教室も生徒さんがとても減ってしまったのだそうです。江戸時代から続いているという技術。手間も時間もかかる物だそうですが、なんとか受け継いでいっていただきたいと思いました。