儀式



それはまるで厳かな儀式のように、水割りは作られるのです。まず、大振りの(おそらく)ワイングラスにジョン・ベッグがメジャーカップで量り入れられ、軽くグラスを回して香りをチェック。続いて、グラスと冷凍庫から出されたカラフェにたっぷりの氷が。ここで、水を注いではストレーナーを使って水を切る、という動作が何度も何度も繰り返されます。これは「氷を磨く」といって、冷凍庫から出したての冷えすぎた氷の表面を溶かし、芯はしっかり冷えているので溶けにくい、水割りに最適な氷の状態にする為のものなのだとか。そして、おもむろにカラフェにジョン・ベッグが注がれステア。これがまた、くるくる…くるくるくるくるくるくる…と数十回。こうすることによって、水割りがいっそうまろやかになり、とろみが出るのだそうです。そして、グラスにストレーナーを使って注がれ、仕上げに数滴、おまじないようにジョン・ベグを。グラスの中の直方体の氷は光を反射して虹色に輝き、目に美しく、口にまろやかな、水割りの完成です。