吉田秀和さんのお別れ会



今夜は、サントリーホールで開催されました、「吉田秀和さんのお別れ会」 ―水戸室内管弦楽団の演奏による追悼―、に参加。小澤征爾さんと水戸室内管弦楽団による、吉田さんへの想いと、深い祈りに満ちた演奏に涙止まらず。

直接面識はございませんでしたが、母校の設立に携わり、その著作によって本当に多くのことを教えていただきました吉田秀和さんに、お別れのご挨拶をしてまいりました。会には皇后陛下もご臨席。舞台には白い葬花。開会のご挨拶に続き、黙祷。そこここですすり泣きの声が。

発起人を代表して、丸谷才一氏の弔辞(体調を崩され録音で)。戦後の日本で優秀な音楽家を発掘して育て、海外から素晴らしい演奏家を招き、著作によって聴衆を育てた吉田秀和さんについてのお話。ご自身も、文章を書く人間が読書が趣味というのはおかしいが、吉田さんの著書を読むのが趣味である、と。

続いてビデオ上演『吉田秀和さんを偲んで』、では例えばジョージ・セル指揮クリーブランド管弦楽団を「宋代の陶磁器」と評した吉田さんの見事な言葉による音楽の表現や、中村紘子さん、小澤征爾さんが語る想い出の数々。

そして水戸室内管弦楽団による献奏。驚きましたことに、小澤征爾さんが舞台に登場。J.S.バッハマーラー編曲):G線上のアリアを、時折よろけそうになりながらも指揮。小澤さんと楽団員の皆さんの、祈りが込められた奇跡のように美しいG線上のアリア

献奏2曲めは準メルクル氏指揮による、ヴァーグナージークフリート牧歌 。絶対に客席のどこかで、吉田さんも、会場に集った皆と一緒に嬉しそうにこの演奏を聴いているだろうな、と思いました。

明日の朝は、吉田秀和さんが長年ずっと召し上がっていたという朝食、半熟卵、紅茶、コーンフレークにヨーグルト、をいただいてみようと思います。吉田さん、ありがとうございました。どうか安らかにお眠りください。