《菫色の文法》展



銀座ヴァニラ画廊で開催中の、《菫色の文法》展へ。
この日は、

《菫色に囁くちひさな朗読会》
詩の朗読と蓄音機の奏でる音楽の午後……ベル・エポックの退廃を追想するささやかな会です
朗読者:森馨、伊藤鮎/蓄音機係:ミストレス・ノール

開催の日。
時代から取り残されたかのようなビルの一室にある画廊は、ノールさんがご自宅から古いイギリスの蓄音機、菫色の布が張られたソファー、青菫色の百合模様の絨毯などの調度品を持ち込まれ、まるで、退廃と憂鬱の美学の詩人、ルネ・ヴィヴィアンのバリのサロンが再現されたかのよう。
菫色の文法 Discipline with Mauve──九人の女性作家による美術展 ヴィヴィアンの小部屋
部屋の隅々まで、美しくないものが一つもない空間。ろうそくが揺らめく中、ペンハリガンのバイオレットが甘く香り、イギリス製の蓄音機からはラモーやフォーレの美しい調べが流れ、男装の麗人と黒衣の婦人によって静やかな声で紡がれるルネ・ヴィヴィアンの詩、ナチュラルラテックスラバーの手触り、そして美味しいお菓子。完璧。

いつもながら、ノールさんの美意識に充たされた空間。たとえ、今この瞬間大きな地震が来て命を失ったとしても、この場にいたことを誇りに思う、そのような美しいひとときでした。