APICIUS



大学生の頃から憧れていたレストランがあります。Restaurant Apiciusアピシウス。一生縁がないであろうとその頃は思っていたそのレストランに、念願叶い訪れることができました。
3月21日は私の誕生日。震災から10日目。思わぬことになってしまいましたが、こんな時だからこそ美味しいものを食べましょう、とお声かけをいただきました。本当にありがたいことです。
余震や停電の心配もあり、飲食店はどこもキャンセル続出とのこと。
この夜のアピシウスも、入店時に他に一組だけ。この方達が帰ってしまってからはずっと貸切り。それでも全てのテーブルに花が美しく飾られ、ガレのランプにはろうそくが灯り、お店の全てが私たち一組のためだけに動いている。なんという贅沢。
カトラリーはクリストフル、食器は大倉陶園、グラスはバカラ、飾られている絵はシャガール、など全てが本物ばかり、そして上品。パンフレットにあるようにまさに「美食と芸術に満ち溢れたひととき」を過ごすことができます。

この日選びましたメニューは、

鵞鳥のフォワグラのテリーヌ
カナダ産オマール海老のポシェ、軽いアメリケーヌソース,クレオール風リゾットと共に
タスマニア産子羊肉のナバラン仕立て
熟成されたフランス産ナチュラルチーズをワゴンから
季節のガトーセレクション 自家製アイスクリームとソルベ
ミニャルディーズとコーヒー

お料理はグランメゾンらしく、一品一品が細部まで丁寧に作られ美味、そしてしっかりとしたボリューム。チーズとガトーはほとんどいただけないほどお腹いっぱい。プチガトーは箱に詰めていただき持ち帰り、翌日美味しくいただきました。サービスは少しも堅苦しくなく、なんとも素晴らしい心地良さ。
地震の時には地階でもやはり揺れは酷かったとのことで、思わず皆でバカラやラリックの花瓶を押さえながら揺れが収まるのを待ったとのこと。お皿やグラス類、絵画やオブジェも何も被害はなかったとのこと、よろしゅうございました。
あの美しく静けさに満ちた空間。忘れることはないと思います。