K.u.K.



本日は、いつも日記にコメントをくださるjasmineさん、そしてお美しい友人のSさんと贅沢なランチを楽しんでまいりました。大好きな、ツッカベッカライカヤヌマの隣にございます、レストラン カー・ウント・カー。一度訪れてみたい、と以前よりずっと憧れておりましたレストランです。
素晴らしいお店でした。思い浮かびましたのは、端正、という言葉。お料理、佇まい、内装、サービス、どれをとりましても端正なお店。
いただきましたお昼のメニューは、まず、ほろほろと繊細な塩味の焼き菓子、“ケーゼベッカライ”とスパークリングワイン(私はほんの一口だけ)。続いて、画像のオーストリアのオードブル盛り合わせ、冷たいスープ、サーモン、生ハム、ゼリー寄せなど。スープは、クレソンの香りの押し麦のスープ、“ゲルシュテルズッペ”。つるんとした押し麦の舌触りが楽しいスープです。メインは静岡、銀化山女のソテー、“ゲプラーテネ ズュースヴァッサーフィッシュ”。銀化山女。ヤマメは海に下るとサクラマスになるのだそうですが、その途中、河口付近ではちょうど体色が銀色になることから、銀化山女と呼ばれるとのこと。デザートは“ウィーナー ツヴァイアライ ナハシュパイゼ”、ブフテルンとトプフェンシュニッテ、にコーヒーはメランジェ。
拘りぬいて集めた素材を活かした、複雑でありながら、とても優しい味わいのお料理。フランス料理のような重さは感じらず、添えられますソースもすっきり。どれもたいへん手が込んでおりまして、とても家庭で、自分で、真似のできるようなお料理ではございません。
楽しかったのが、サービスの方々のメニュー紹介。例えば銀化山女のソテー“ゲプラーテネ ズュースヴァッサーフィッシュ”の付け合わせとソースは、“カルトフェルユンゲツヴィベルピュレー”と“シュタイリッシェ・キュルビスケルンペースト”。まるで、メリー・ポピンズの“スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス”のよう。私など、“ツッカベッカライ カヤヌマ”とすっと言えるようになるのにも、数か月要しましたのに。淀みない説明を耳にいたしますと、もうそれだけで、良くお勉強をされて偉いわ、お見事、と。最後に“メランジェ”の確認いたしますのに、「メラ、メランジェで」、と言い直してしまい、そのサービスの方が立ち去ってから、「ここまで完璧でしたのに、意外に簡単な“メランジェ”で噛みましたね」、などと、思わず小声で囁き合ったり。
そして更に楽しかったのが、栢沼(かやぬま)マイスターのお話を直接伺えたこと。ご一緒いたしました、お菓子研究家でもあるSさんは、以前お菓子を教えていただいていたとのことで、マイスター自らわざわざテーブルまで来てくださり、ウィーンから取り寄せている材料のお話や、新作のパンやメニューのお話などなど、様々な興味深いお話を伺うことができました。お顔を間近に拝見しながら、あの世界一美味しい(と私が思っております)ザッハトルテを作っていらっしゃるのはこの方なのね、と興奮。オーストリアオーストリアの伝統菓子の指導に行くほどの技術を持ったマイスターでありながら、とても明るく気さくなお人柄。お蔭さまでなかなか経験のできない楽しいひと時を過ごさせていただきました。
お声をかけてくださった、jasmineさん、Sさん、ありがとう存じました。上品で美しい女性が大好きですので、ご一緒させていただき、とても幸せなひと時をすごさせていただきました。
そう、調べましたところ、お店のK.u.K.は、“Der kaiserlicher und königlicher Hoflieferant”、皇帝と国王。皇室、王室御用達、という意味だそうです。