『japan 蒔絵 −宮殿を飾る 東洋の煌き−』展



昨日は仕事を終えましてから、サントリー美術館で『japan 蒔絵』を再び見てまいりました。今回は、時間がたっぷりございましたので、音声ガイドも利用し、じっくりと。
どの品も素晴らしいこと。特に、香道のお道具、沈箱、香箪笥など、小さな品々に施された、繊細で優美な蒔絵にはもう驚き、見惚れるばかり。
今回の展示ではヨーロッパの王侯貴族の持ち物であった漆器が数多く展示されておりまして、東洋趣味、シノワズリのブームもあり、日本の漆器が大変珍重されたことが伺われます。美しいだけではなく、熱湯を注いでもびくともしない漆の強さも、彼らにとっては驚きだったとのこと。
ただ、豊かな王侯貴族たちにとりましても、日本の漆器はあまりに高価だったようで、お抱えの職人に同じような品を作らせようとしたのですが、どう工夫をいたしましても、漆の艶、蒔絵の美しさを再現することは難しく、似た物さえ作ることはできなかったよう。フランスの職人が精一杯頑張って作ったのであろう、ポンパドゥール夫人の持ち物であった文机も展示されておりましたが、お気の毒になってしまうような出来。
また、今回の展示で一番古い、平安時代に作られたという箱が、その美しさを損なうことなく今も残っておりますのに、ヨーロッパへ渡った漆器の中には、ヤニ色に変色をしてしまったものも多く見受けられます。これは、保護や補修の為に、職人が漆の上からニスを塗ってしまい、ニスは酸化するために色が変わってしまったとのこと。もったいない。
日本人の美意識、繊細さ、職人の技術力の高さを誇りに感じる展示。時間が取れましたら会期中にもう一度訪れたいと。