空也



所用があり銀座へ。帰り際に突然、空也の和菓子が食べたくなりお店へ。
暖簾をくぐりますと、入って右手には注文主の引き取りを待つ予約の『もなか』がずらり。もなかの予約はしておりませんので、左手にひっそりと置かれた、季節の和菓子を一箱買い求めることに。
創業百20年を迎えたとのことですから、まさに老舗の和菓子屋。お菓子に添えられた“しおり”には、「……ここ銀座で、安くて美味しい和菓子を出来る範囲でつくり、その日のうちに売り切るのが空也スタイルと存知、お客様のご不便を省りみず不遜な商いと映り、心苦しく存じます。しかも便利なこの時勢に、発送、配達をお受けできず、カードの利用も不可とさせていただいております。重ねてお詫び申し上げます。ご予定がお決まり次第、一週間でも一ヶ月前でもご予約を賜りますようお願い申し上げる次第でございます。」とも。
宜しいのではないでしょうか。私も、もしも和菓子店を持つといたしましたら、このような経営方針で営業するのが理想です。
さて、今日の和菓子は、空也双紙、浮島、蕎麦饅頭、黄身瓢、大納言入り羊羹、胡麻求肥。驚くほどの美味しさ、というものでもないのいですが、子供の頃に食べた和菓子というのはこういうものだったわよね、というお味。今時の和菓子屋さんには醸し出せない、古臭くも懐かしい味わいです。