『巨匠ピカソ 魂のポートレート』展



昨日は仕事の帰りに、サントリー美術館に寄り道。『巨匠ピカソ 魂のポートレート』を見てまいりました。
青の時代、バラ色の時代、キュビズム新古典主義シュルレアリスムの時代…と、ゆっくりと時間をかけて見たのですが、どうにもこう、ぐっとくる、と申しましょうか、素敵だと思えるものに触れた時に感じる、血がぼわっと熱くなるような絵が一枚もございませんで。
音声ガイドでは、その作品の解説をする上で欠かせないのでしょう、彼の複雑な女性関係についても多くが語られています。オルガ・コクローヴァとの出会いと最初の結婚生活。結婚生活の裏で重ねられた17才のマリー・テレーズとの密会。そしてドラ・マール、フランソワーズ・ジロー、ジャクリーヌ・ロックとの愛人関係。そして、その時々のそれぞれの女性に対する想いを、絵に表現しているのです。例えば、頭が牛で体は人間の怪物ミノタウルスはピカソ自身、そしてミノタウルスが抱く死んだ牝馬は今の愛人。それを捕らえようと洞窟から不気味に手を伸ばしているのは妻。そしてヴェール越しにその様子を見つめる若い女性は新しい愛人。最初は美しく描かれていた自分の姿が、次第に醜く描かれるようになる。ピカソの心の移り変わりを突きつけられているようで、女性達はきっと苦しく、悲しい思いをしたのではないでしょうか。
サントリー美術館の展示では、これ、という一枚を見つけることのできなかったピカソの作品ですが、国立新美術館で開催中の、『巨匠ピカソ 愛と創造の軌跡 』展の招待状もいただきましたので、そちらも見に行ってみることにいたしましょう。