印傳



数年前に銀座伊東屋で買い求めました、ジョルジオフェドンの名刺入れは、ある日突然合皮がぼろっぼろになってしまい、使えなく。買い換えなくてはと思っておりましたところ、ちょうど先月、絵本の展示のために奈良にまいりました折に見かけ、買い求めてまいりましたのが画像のカードケース。印傳の名刺入れ。これがたいそう良い買い物でした。
鹿皮というのは大和朝廷の時代から朝廷への貢物の一つであり、柔軟で強靭であるという特徴を活かし、奈良東大寺正倉院の宝物でも、文箱、武具の紐類、装飾、馬具の鞍じき等として、多く使われている素材とのこと。
印傳というのは、この鹿革に漆で柄付けをした革製品のこと。印度伝来、からこの名が付けられたとも言われているそうですが、その技は、日本独自のものとして長く伝えられてきたとのこと。
奈良で買った鹿革製品ということで、もしや、あの奈良公園の可愛い鹿さん達の皮だったり?実は奈良の鹿は増え過ぎて困っている、という噂も小耳に挟みましたので、真夜中に鹿の寝込みを襲い、キャー…などとあれこれ想像は膨らんだのですが、調べてみましたところ、私の買い求めました印傳は、中国から輸入した小鹿のものとのこと。
数週間使ってみましての感想は、軽い、手触りがよい、そして丈夫。一度うっかり汚してしまったのですが、濡れふきんでふき取りましたら革ですのに染みにもならずまっさらの状態に。漆の模様が薄暗い場所ではキラキラと光りましてとても綺麗。印伝というと、お婆さんの持つバッグという印象があったのですが、今はモダンな柄もたくさんございまして、柄と色の組み合わせを上手に選べばなかなかにお洒落。
実は今使っております小物はルイ・ヴィトンのものが多いのですが、その理由は何と申しましても“丈夫”だから。もう少し長く使ってみませんとなんとも言えませんが、この印傳もヴィトンに負けずに丈夫であるよう。定期入も印傳のものに買い換えようかと検討中です。銀座コアに直営店があるそうですので、一度覘いてみることにいたしましょう。