菊一文字 手袋鋏



京都、打刃物司 菊一文字。伝統七百有余年、後鳥羽上皇御番鍛冶であった則宗の流れを汲むという刃物の店。ちりめん細工用に小ぶりの裁鋏を探し、見つけましたのがこちらの手袋鋏。
全長200㎜。持ち手は通常サイズとほとんど変わらないのですが、刃の部分、かしめから先が70mm程と小さく、曲線の多い裁断に適しているとのこと。まだ少々手に馴染みませんが、大きな裁鋏と比べましたら細かいカットが格段に楽になりました。
菊一文字といえば、新撰組沖田総司の愛刀として有名とのことですが、幕末、既に国宝扱いであった菊一文字則宗を一隊士であった沖田総司が容易に入手できたとは考えにくく、司馬遼太郎歴史小説新撰組血風録』の中に描かれた架空の設定からイメージが出来上がってしまっただけなのではないか、とも考えられているそうです。
なんにせよ、切れ味のよい鋏というのは使っておりまして気持ちのよいもの。鋏を手に、美しい刃を見つめておりますとうっかりと空鋏をしそうになりますが、空鋏というのは何より刃を傷めるのだそうですね。
大切に使い続けたい、愛鋏です。