ARCO IRIS



東銀座、歌舞伎座のすぐ近くにございます、地中海料理のお店、アルコ・イリス。以前より気になっていたのですが、やっと訪れる機会が。
地中海料理というのはどのようなものなのか、ということにまず興味があったのですが、こちらのアルコ・イリスでは、スペイン、イタリア、 フランス料理など地中海に面したヨーロッパの料理の良いところ、美味しいところばかりを食べてしまおう、というメニュー構成のよう。階段を上がり、店内に足を踏み入れますと白ですっきりと統一された店内は、とても静か。今日は、どうやら貸切り状態のようです。
料理はコースではなく、アラカルトでオーダー。前菜のイベリコ豚の生ハムも、サラミも、牛頬肉のパテも、ピクルスもオリーブも美味。お魚料理のスズキもふわふわと優しい味わいで美味。 お肉料理のロゼに仕上げられたシャラン産の鴨も、付け合せのたくさんの珍しいきのこも美味。地中海料理、美味しいです。こんなに素敵なお料理を出すお店ですのに、他にお客様が一組もいないのはどうしたことでしょう。もったいなさ過ぎます。使っている食材を考えましたら驚きの良心価格。銀座でのお食事に、歌舞伎観劇の折のお食事に、ぜひ一度訪れてみてくだいませ。
さて、シャランの鴨をいただく時に使いましたナイフがあまりに美しくて、 手触りがよくて、すっかり恋に落ちてしまいました。このナイフ、フランス、ライヨールのものとのこと。ライヨールのソムリエナイフは何度か目にしたことがございましたが、普通のナイフを手にいたしましたのは初めてのこと。欲しい欲しい。
調べてみましたところ、ライヨールというのはブランド名ではなく、ライヨール村で作られたものは全てライヨールと名乗ることができるのだそうです。村中に百数十軒もの工房やナイフ専門店があり、残念なことに、外国で作らせたものや、近隣の工場で作らせたものをライヨールのナイフとして 販売しているところも多いとのこと。柄に飾られた蜜蜂のマークは、勇敢なライヨール出身の戦士たちへの褒美として、ナポレオンから彼の紋章である蜜蜂を使うことを許されたのだそうですが、これも、付いているからといって品質の良し悪しの判断基準とはならないとのこと。
アルコ・イリスで使われておりましたのは、フォルジュ・ド・ライヨール(Forge de LAGUIOLE)のもの。あれこれ見比べ、私もここのナイフが一番美しいように思いました。 もしも刺されて死ぬのだといたしましたら、このように美しいナイフで刺されたい、そう思わせるほど、美しいナイフ。よいものを見つけましたらぜひ1本、我が物としたいです。