舶来品



もう一人、久々に思い出したお友達が。奈良の小学校に通っておりました頃、時折遊んでおりました、より子ちゃん。毎日のように遊んでいたのはお隣に住む元気いっぱいの姉弟だったのですが、時々、リカちゃん人形とお着替えセットを持って、より子ちゃんのお家に遊びに行くのが、私は大好きでした。
より子ちゃんは優しくて可愛らしい、女の子らしい女の子。お父様が航空会社にお勤めとのことで、家の中にはそれこそ、見たこともないような美しく、不思議な異国の品々が所狭しと並んでおりました。さながら、アリババの洞窟の中に迷い込んだかのよう。当時、私の父も商社マンで海外出張があったのですが、行先は香港がほとんどで、たまにフィリピン。お土産といえば、毎回、クロスのボールペン、ブランデー、金、銀細工のネックレス。時々ミニチュアの提灯や京劇の面などを買ってきてくれたものの、女の子がわくわくするようなお土産ではございませんで。
より子ちゃんのお部屋で、棚や引き出しから次々取り出される、アクセサリー、手鏡、人形、ビーズやスパンコールが刺繍されたバッグやスリッパ、綺麗な石、何に使うのかよくわからない、とにかく煌びやかで美しい品々を、見せてもらいうっとり。私の美しいものへの憧れというのは、より子ちゃんのお家で大きく育まれたように思うのです。
私が埼玉に引っ越すのと同時期に、より子ちゃんはやはりお父様の転勤で新潟に移ったと聞きました。今頃どうしているでしょう、より子ちゃん。