割烹 はらだ



大切な打ち合わせがあり、兵庫から京都へ移動。
打ち合わせを無事に済ませ、せっかく京都へまいりましたのですから、何か京都らしい美味しいものを食べて帰りたいと。前回、母と京都を訪れた折にまいりました有名な湯豆腐のお店は、接客もお料理もあまりにひどくてがっかり。また京都でそのような思いはしたくない。そうだわ、美味しいお店に詳しくていらっしゃるid:aquioさんに相談を、と電話をいたしましたところ、お薦めのお店を教えてくださり、しかもなんとご一緒してくださるとのこと。ありがたいですこと。
連れて行っていただきましたのは、『割烹 はらだ』。ご主人の原田耕治さんは、長年、やはり京都にございます割烹、『忘吾(ぼあ)』の料理長さんをなさっていて、この春、独立されたばかりとのこと。カウンター10席ほどと、テーブル席が2つのこぢんまりとしたお店。
まず出てまいりましたのが、美しく盛り付けられました先附の、鱧鮨、サワガニ、魚そうめん、卵黄の味噌漬け、など。一番驚いてしまいましたのが、鱧。私が今までにいただいた鱧とは、香り、口当たり、味、全てがあまりに違います。湯びいてありましても少しも水っぽくなく、骨切りをしてあることすら気付かないほどふんわり柔らかく。鱧というのはこういうものだったのですね…。
次いで、またまた嬉しい鱧の沢煮椀。嗚呼、どのようにしたらこれほど美味しいおだしを取ることができるのでしょう。そして鱧がこんなに香り豊かなお魚だったとは。目を閉じてうっとり。
お造りにも、スズキ、鰹、ヤリイカなどと共に、鱧が。梅肉でいただけば、もう言葉もなく。焼き物は、炭火でじっくりと焼いた稚鮎の塩焼き。添えられた、たで酢をつけて頭からがぶり。骨までいただけます。この鮎がまた、今までいただいた中で一番の味わい。もうもう、何をいただきましても、幸せな美味しさです。


他にも、ホタテの貝柱のよいおだしの出た、トマト、トウガンなどの夏野菜の冷たい炊き合わせ。揚げものは、太刀魚、モロッコインゲン、しいたけ、と、とうもろこしのかき揚げ。お口とりの、梅の冷たい茶碗蒸し。そして、ご飯と、じゅんさいのお味噌汁、お漬物、ちりめんじゃこ。デザートは、黒蜜シャーベット、新しょうがのシャーベット。
カウンターの中の原田さんの表情にも「美味しいでしょう」、という自信が漲っておりまして。はい、美味しいです。
ミュンヘンのGさんも、まだ原田さんが『忘吾』にいらっしゃったころにaquioさんに連れられてそのお料理を召し上がり、「涙が出そうに美味しいです…」、と感動していらっしゃったそうな。私も途中で、あまりの美味しさに思わず涎をこぼしそうになり、慌てて口元に手を運んだほど。かといって、敷居の高さを感じさせることもなく。
その後、高瀬川沿いにございます、カフェへ。テラス席のすぐ目の前が高瀬川。水面に映る街の灯りが美しく、夜風が頬に心地よく、水音が耳に優しく。
aquioさん。素敵なお店をご紹介いただきまして、本当にありがとう存じました。


割烹 はらだ
京都市中京区川原町通竹屋町上ル西側
電話:075-213-5890