変と嬰




桜の旧字体の「櫻」について書かれた日記を拝見して、小学生の頃、聴音の先生から教えられた、日本語で半音上げるという意味の「嬰(えい)」という文字を「かいかいおんな」と覚えたことを思い出しました。
♯シャープは嬰、♭フラットは変、嬰ハ短調変ホ長調…。丸覚えをし、何の疑問も抱かずに今日までまいりましたが、考えてみましたら何故、半音上げることを嬰、下げることを変、というのでしょう。少し調べてみたのですが、どうやらこの辺りからきているのではないかしら、というのが以下の雅楽についての記述。

洋楽では、ドレミファソラシドの七音階だが、雅楽を始め邦楽では、基本的には五音。これを、「宮(きゅう)」、「商(しょう)」、「角(かく)」、「徴(ち)」、「羽(う)」の五つで表し「五声」という。また、五声に「変徴(へんち)」、「変宮(へんきゅう)」、または「嬰商(えいしょう)」、「嬰羽(えいう)」の派生音、つまり、上下半音の嬰(えい)と変(へん)との二音を加えたものを七声。
五音に変宮・変微を加えたものが呂(りょ)曲、五音のみであるのが律(りつ)曲、嬰商・嬰羽を加えたものが中(ちゅう)曲。

ちなみに、ろれつが回らない、の「ろれつ」は、この「呂律(りょりつ)」。呂(りょ)」と「律(りつ)」という音階が合わないことを「呂律が回らない」と言ったことからきているそうです。もう1つおまけに、中国語では♯は升、♭は降、と表すとのこと。