オルガニート用編曲



賛美歌の1つを、オルガニート用に編曲してみることに。曲をオルガニート用としてアレンジするのは初めてのこと。
まず、使うことができるのは、ドから2オクターブ上のラまで。つまり、ドレミファソラシドレミファソラシドレミファソラ、の20音のみ。五線譜にメロディーを書き込み、ピアノを使い、オルゴールの音色を思い浮かべながらアレンジ。音の数が限られておりますので、学生の頃音楽理論の時間に学んだ和声進行を守ろうとすると寂しい響きになりがち。平行8度などの禁じ手も使いつつ、華やかな雰囲気を出すためにパンチで穴をあける時にくっつきそうになる16分音符を駆使したアレンジを完成。ピアノで弾く限りではなかなかの出来です。次いで、オルガニート用の演奏カードに小節線の代わりとなるマークと小節番号を書き込み、五線譜とにらめっこをしながら、つけるべき位置を間違えないように慎重にエンピツで小さな丸印を。全て書き込み終えましたら、その印をパンチでプチプチ。穴の数は二百数十。ようやく完成!
これはかなりいい感じに響くのではないかしら、と、もう、早く実際にオルガニートで鳴らしてみたくて。ちょうど横でPCをしておりました娘に自信満々で「ママって天才かも。聴いててね。」と言いながら、カードを通してみますと。え…ぐわぁ…、最初の小節からもう鳴るべき音が聞こえません。16分音符を多用してゴージャスに仕上げた、最高に盛り上がるはずのところも、なんだか指がもつれているかのようでとても変。娘も「そーなの、すーべっちゃってるの」とわはわは笑っております。ショック。
さて、困りました。一番の問題点は、連打音。連打、同じ音を続けて鳴らす場合に、8分音符分、間隔を取れば大丈夫なのだと思っておりましたが、それでは不十分。少なくとも付点8分音符分の長さ、確実に鳴らすには四分音符分の間隔が必要なのでした。次いで16分音符。手でハンドルを回すのが人ですので、多用し過ぎると少しでもカードが送られるスピードが一定ではなくなった時に、粒の不揃いさが笑いを誘ってしまいます。
ということでアレンジし直し。メロディーの最初の部分に連打音があるため、ここをまず2つの続く音のうち1つを他の音にし、なおかつ元のメロディーに聞こえるように工夫。16分音符はポイントで飾りとして使う程度に減らし、うっかり連打となってしまっていた音を分散させてずらし、必要な響きが得られるようにアレンジ。オルガニートは音を伸ばしておく、ということができませんので、ピアノでのアレンジもペダルは使わず、音は伸ばさず。さて、再度カードに丸印でマークを付け、パンチで穴をあけ、恐る恐るオルガニートを通します。うぅん、なんとか許される範囲内でしょうか。まだ少し響きが寂しく感じるところがあるのと、和音を縦にきっちり揃えずに、少しずらしてアルペジョに聴こえるようにしたらもっと響きが豊かになるようにも思うのですが、そうするとまた音の間隔が不揃いでお笑いになってしまいそうですので、まあこれはこれでよしといたしましょう。16分音符は、音階もいいですが、分散和音も美しいもの。次回はもう少し多用を。
一曲編曲をしてみまして、だいぶコツが掴めたような気が。大変ではありましたが、限られた音数で美しい響きが得られた時は嬉しいもの。以前にいただいた演奏カードでまだ穴をあけていないものが7、8枚残っておりますので、これらをパンチいたしましたら、また何か新しいアレンジに挑戦してみたいと思います。
カードを完成させて、お風呂に入りましたら、湯船にいくつかのパンチで抜いた小さな丸い紙が。髪もタオルでまとめておりましたのに、いったい体のどこに付いていたのでしょう。湯船に浮かんだ小さな紙片。川面に漂う花びらのようで、ちょっと素敵でした。