カラスの足跡



子供の頃。おそらく、母がテレビで美容の番組でも見ていた時のことだと思います。「カラスの足あとってなに?」と訊ねる私に、母は「大人になると、顔に出てきてしまうもの。いやよねぇ。」と。(か、顔に?カラスの足跡が!)と、あの、地面や雪に残る鳥の足跡が、まるで刺青でもいれたかのように頬やおでこに浮かび上がる様が目に浮かび、(それは確かにすごくいや)、と子供心に思ったものでした。
さて、あれから数十年。からすの足跡もぼちぼち顔に現れるお年頃となりましたが、この時思い浮かべておりました恐ろしい状況に比べましたら、目じりのしわぐらいなんでしょう。よかったよかった。