ネズミ捕りにスズメ、と私



六本木ヒルズのあるショップ。66プラザを見下ろす素敵なテラスがございますので、次々に色が変化する美しいイルミネーションをうっとりと見せていただいておりましたら、かかとが何かにべったりと。足元を見ますと、なんと、これはネズミ捕りでは?!強力粘着シートタイプのネズミ捕り(ま、巨大なゴキブリホイホイのようなものです)に人間の私がかかってしまったようです、いやはや。
なんとか踵に付いてしまったべたべたを拭き取り、店内に戻り、ショップの方に「テラスにネズミ捕りが置いてあるんですね」と伺うと…

店:そうなんですよ。階下のレストランが閉店したものですから、行き場を失ったネズミたちが新たなる餌場を探して大量に彷徨ってるんですよ。
私:うわ、そうなんですか。でも、ネズミと食材を共用していたことになるレストラン、というのも考えると恐いですね。
店:ええ。とりあえずテラスにネズミ捕りをたくさん仕掛けたとのですが、賢くて一匹もかからないんですよ。テラスをネズミがたたたっと走っている姿は見えるんですけどね。かかるのはスズメばっかりで。
私:スズメが?かわいそうに。そのスズメはどうしているんですか?
店:あ、ちゃんと逃がしていますよ。
私:え、絶対にもう飛べないでしょう、羽がねちねちしちゃって。みんなその辺りに落ちてしまっているんじゃないですか?
店:いえいえ。もう仕事そっちのけでちゃんと日本野鳥の会に問い合わせて、「サラダオイルで落とせば落ちます」というので、ちょうどオリーブオイルがあったのでそれでべたべたをきれいに落としてあげて、そのあとシャンプーで洗ってドライヤーで乾かして、それで逃がしてあげているんですよ。
私:すごい。まるで湾岸戦争の海鳥救助活動のようですね。スズメは嫌がって暴れたりしないんですか?
店:じーっとしてますよ。で、体が乾けばちゃんと飛んでいきます。最初の一羽はすごく時間がかかりましたが、二羽めからはもう手馴れたもんで、10分もあればきれいにして放してあげられます。
私:偉いですね。
店:動物好きですから。

と。賢いネズミやカラスはかからないネズミ捕りにかかった人間の私は、警戒心がスズメレベル、ということになるでしょうか。チュンチュン。