ひょっこりひょうたん島ときな粉餅



いくつかございます、ふとした瞬間に思い出される味と情景の一つ。
6歳の春に大阪のヤマハでアップライトのピアノを買ってもらい、営業さんの紹介である先生のお宅へレッスンに通うようになりました。私の記憶の中では、先生のお住まいは「ひょうたん島」。お母様もピアノの先生、という物静かでお若くて華奢な先生。叱られた記憶が一度もない、それは優しい先生でしたし、週に一度、少しだけおめかしをして、メトードローズとバイエルの楽譜をレッスンバッグに入れてひょうたん島へ通うのは子供心にも、特別な一日、という感じがして嬉しいものでした。
さて、そのひょうたん島の駅前にはごちゃごちゃとした商店街がございまして、レッスンの帰りに母とその商店街を歩くのも、楽しみの一つでした。食料品、雑貨、がらくた、そう、何に使うのか怪しげなドレスもたくさん売られておりまして、私はそのドレスを見るのが大好きでした。そして、おやつに、とよく母が買い求めましたのが、搗きたてのお餅にきな粉をまぶしたもの。お店の人が包装する手元を見ていると、必ず一つ二つサービスで食べさせてくれまして、これが暖かくて柔らかくて美味しかったこと。
当時住んでおりましたのは奈良。奈良に「ひょうたん島」ってあったのかしら、と調べてみましたら、大阪に「瓢箪山」という場所があるようですね。記憶の中の「ひょうたん島」は「瓢箪山」だったかもしれません。
※写真のクリームミントチョコレートで思い浮かべる情景につきましては、またいつの日かお話したいと。