嗅覚復活



匂いがまったくしないことに気がついたのは、熱が出始めて二日目だったでしょうか。何を飲んでも美味しくなく、それでも水分は摂らなくては、と気力を振り絞ってお湯を沸かしていれたマリアージュ フレールの紅茶がただのお湯でしかなく。香りのない飲み物の、食べ物の、なんと味気のないことか。なかなかない機会、とばかりに色々と試してみましたが、一番納得できなかったのはカレーライス、次いで日本酒。それでもまだ食べ物として認める事ができたのはかまぼこ。こちらはぷりぷりとした食感に僅かではあっても喜びを見出すことができたから、かもしれません。
今日のお昼、母に電話で「野菜スープを作ったら」と勧められ、作り始めたのですが、玉ねぎに鼻を近づけても、やはりまったく匂いがいたしません。まだダメなんだわ、とがっかりしながらも手を進めておりましたら、ふわっとある香りが。縋る思いで深く吸い込みましたら、いたしました。スープに入れようと手にした月桂樹の葉の香り。数日振りの匂い、どれだけ嬉しかったか。今、熱々のスープを香ばしいパンと共にいただきました。健康に、感謝。