結界



今は亡き、母方の祖母から聞いた話です。まだ新婚の頃、祖父は自分が仕事に出ている間の祖母の身を案じて、住居の周りに紐を張り巡らせ、その紐に鈴を付けていたのだとか。本来の意味とは違いますが、祖父にとってはまさに結界。この話を聞いたのはまだ学生の頃でして「おばあちゃまったら、そこまで愛されて大切にされいたなんて、素敵」などと思ったものでした。今ですと「祖父はもしや嫉妬深く、束縛をする人であったのか?買い物へも行けないではありませんか」などと(夢の無い事を)。ま、よろしゅうございましょう。一生の内にそのような一時がございましても。本当に好きな人にでしたら、そのように守られたら幸せだと感じるかもしれませんし。そう、買い物へは紐をくぐって行けば良いのですから。