神様



昨夜のおじ様に「今も良く銀座で飲まれるのですか?」と伺うと「いや、もうほとんど行ってない。お店も人もすっかり変わってしまったし。銀座だとね、月に三回は顔を出さないとお客だとは認めてもらえないのよ。月に一回ぐらいじゃ、どなた?って感じでね。一回行ったら10万、三回となるとそれだけで30万だもの」と。そうなのですか、大変。一軒では済みませんしね。

昔は良く奥様を泣かせていたおじ様。「最近は悪い事はしていらっしゃらないのですか?」と伺うと「もうっ、まったく。神様みたいもんだよ」と。「本当に?では、こんな夜景の素敵なホテルのバーに、いつもどなたといらっしゃるのでしょう」と申し上げると、一瞬言葉に詰まったあとで「そぉれは・・・一人でだって来ますよ」と。ほうほう、お一人で。

駅まで送って下さった神様は「このまま帰ろうか、それともどこか寄って帰ろうか考え中」と夜の街に消えていったのでした。