クリスチャン・ツィメルマン



クリスチャン・ツィメルマンのピアノ・リサイタルを聴いてまいりました。

リハーサルが延びているとかで、まずロビー会場。結局15分遅れの開演となりました。なんでも、ツィメルマンはマイ・スタインウェイを持ち込んでいるとのこと。

開演に先立ち、本人からのメッセージが代読されました。なんでも、コンサートを隠し録りし、Youtubeにアップしてしまった人がいて、それが原因で、現在ツィメルマン氏と、レコード会社、音源をアップした人との間で訴訟になっているとのこと。どうか録音録画はしないでいただきたい、と。

そして、舞台にツィメルマン登場。まず、容姿が好みだわぁ。顔立ちはもちろん、髪型もひげもとっても素敵。

この日のプログラムは、

ドビュッシー:版画
ドビュッシー前奏曲集 第1集より
  2.帆
 12.吟遊詩人
  6.雪の上の足跡
  8.亜麻色の髪の乙女
 10.沈める寺
  7.西風の見たもの
シマノフスキ:3 つの前奏曲(「9つの前奏曲 作品1」より)
ショパン:ピアノ・ソナタ第3番 ロ短調 作品58

いやー、素晴らしかったです。ツィメルマンを生で聴いたのは初めてでしたが、その音色の美しいこと。霞がかかったかのような柔らかな音。光の反射が見えるかのような煌く音。伽藍に響き渡る鐘の音。地鳴りのように轟く低音…。pppからfffまで。美しくない音は一粒たりともありません。

さらに、伝わってまいりますお人柄の温かさ。

季節柄咳き込む観客が多かったのですが、曲間で多くの人が咳をした時に、本人も咳をして「いやー咳は辛いよね」といった仕草をして客席を見たり。ショパンソナタの1楽章が終わったところで思わず拍手をしてしまった方達がいたのですが、2楽章が終わったところで「ええと、ここは拍手しなくてもいいのかな?」というちょっととぼけた表情で客席を見たり。

ショパン以外は譜面台に楽譜を置いてしっかり見ながらの演奏でしたし、ショパンの最終楽章はちょっと疲れていたようにも見えましたし、アンコールもなかったので、もしかしたら体調が今ひとつだったのかもしれませんが、それでも文句なしに素晴らしいコンサート。

聴き終えた後、美しく温かなピアノの音色で身体が充たされているかのように感じました。幸せ。