スカラ座、と、ひまわり



新宿の喫茶店スカラ座のマッチがとても素敵。オペラ『椿姫』の1幕最後のシーンでしょうか。煙たいのを我慢してもまたマッチ欲しさに訪れたくなります。
この日スカラ座で注文いたしましたのは、サンドイッチとコーヒー。サンドイッチは、ピクルス、枝付き干しぶどうも添えられてなかなか美味。
歌舞伎町にあった頃を私は知りませんが、藤城清治の影絵、白いレースのカバーの掛けられた赤いソファー、七宝の灰皿、伝票の裏に描かれた愛らしい絵、などは当時のままとか。
喫煙可ということもあってか、店内はおじ様おじい様天国といった様相。隣席からは、「…さんは満州からシベリア抑留で苦労したんだよなあ…」といった会話も聞こえてまいりまして、ちょうど五味川純平の『人間の條件』を読んでおりましたこともあり、思わず耳ダンボに。
その後、1987年に58億円で落札された、ゴッホの『ひまわり』を観に東郷青児美術館へ。お噂はかねがね…ではございましたが、これまで一度も損保ジャパン東郷青児美術館を訪れる機会がなく、実物を見たのはこの日が初めて。
思っておりましたよりも大きく、落ち着いた色合い、繊細で立体的で力のある絵でした。画像や映像で見るのとはやはり大違い。