『異文化交流建築』



ミッドタウンのd-laboで、セミナーを一つ聴講してきました。マニュエル ・ タルディッツ氏の『異文化交流建築ーCross-culture Architecture』。フランス外務省から依頼をうけ、東京のフランス大使館公邸のリノベーションを担当したフランス人の建築士さんのお話です。
日本で暮らしてもう25年。日本の大学院で学び、奥様も日本人とのことで、流暢な日本語で今回のリノベーションについてたくさんの画像をスライドで見せながら解説をしてくださいました。

公邸は1950年代に建てられ、1、2階合わせて2000平米ほど。外国なので建築基準法を守らなくて良い。年間15,000人のゲストが訪れる、いわばフランスのショールームのようなもの。強い軸線を持った教会のような硬い建築なので、強い色は使わず、優しく安定感のある雰囲気になるよう心がけた。パティナという、普通の壁を石壁のように見せる技術を持った職人をフランスから呼び寄せ金色のパウダーを使い、光によって変化する壁にした。照明が暗く感じるかもしれないが日本が明る過ぎる。1階はフランスと日本をミックスし、2階は障子、珪藻土の壁、和紙のテクスチュアを活かし、日本的にした。大使夫人からは最初は余りと言えば余りな感想をいただいたが(「イケアみたいですね」)、1年ほど経ったある日「とても良いです」と理解してくれた、などなど興味深いお話あれこれ。
フランス大使公邸は、6年ほど前に一般公開された折に一度訪れたことがあり、その頃の内装と比べますとずっと温かく穏やかで、そしてとても日本的になったという印象を持ちました。

その時に目にした建物の美しさも記憶に残っておりますが、なによりも驚きましたのがお庭。広尾にありながら、見渡す限りの庭園とそれに続く緑の森。地形もあるのでしょうが、他の建物が一つも見えないことに驚き、不思議に感じたことを、画像を拝見しながら思い出しておりました。

※改装なった公邸の画像はこちらに数枚。
http://www.mikan.co.jp/public.html#feh