今夜は帰さないよ?



膵炎の検診で、前回血液検査の数値が良くなかったこともあり、先生が念のために内視鏡検査をしましょう、と。上部超音波内視鏡検査なる、口から内視鏡を入れて胃の裏にある膵臓の状態を診るという検査。
「えー、それは辛い検査なのでしょうか?」、と訊きますとI先生「眠っている間に終わってますよ」、と。うわ、もしや全身麻酔?。これまでお酒に酔って意識を失ったことすらありませんのに、怖いわあ。何があってもぐっすり眠ることのできる私も、さすがに検査前日の昨夜は熟睡できず。
まずはいつもの血液検査とこちらはまったく痛みのない内科腹部エコーを済ませてしまいます。エコーは温かなゼリーをお腹に塗ってお腹を撫で回すように検査をするだけ。
そしていよいよ内視鏡検査室へ。まず、着替え部屋で上半身裸になり検査着に着替えます。壁に「着替えた終わったら方は扉を開けてください」と書いてあったので開けて椅子に座って待っておりますと、看護婦さんが笑いながら「着替えたらこちらに出てきてくださいね。そこにいたら永遠にお名前呼ばれませんよ」、と。あら、そうでしたか。
お着替え部屋を出て、受付で名前を伝えると、「では、この粘膜を綺麗にするお薬を飲んでください」、と手渡された紙コップ一杯分のちょっととろみのある味のない薄い葛湯のようなものを飲みます。
見回しますと検査を待つ間に座る椅子は大きな黒い革張りで、まるでファーストクラスのシートのよう。何故内視鏡検査室だけこんなに椅子が豪華なのでしょう。それだけ辛い検査をいうことなのかしら、とかえって不安に。
そんなことを考えながら一気に飲み干しますと、椅子に案内され、「麻酔の薬を入れますのでそのまま含んでいてくださいね」、と針のない注射器のようなもので口の奥にゼリー状の薬を入れられます。なるべく喉の奥にあった方がよかろう、とやや上を向き5分ほど。「はい、では一度吐き出しちゃってください」、と洗面所で出すと、「ではもう一回しますね」、と同じことをもう一度。歯医者の麻酔の弱い版のような効き具合。こんなもので大丈夫なのかしら。私、お酒に強かったし、麻酔が効かなかったら苦しそうだわ、やだわあ。そして、赤い輪ゴムを渡され、「髪を結んでくださいね」。
次に、「お腹の動きを押さえる注射をしますね。ちょっと痛いですよ」、と本当に痛い注射を肩に打たれてもみもみ。いたたた。
ここで検査室に案内され、検査台に横たわります。体の左側を下にして横たわり、体の角度やら手足の位置やらを調整され、「喉の麻酔を追加しますね」、と「はいベーっと舌を出して、口を大きく開けて、はい息を止めてー」で、シュッシュッシュとたいへん刺激的な薬を喉の奥にスプレー、そしてそれも吐き出します。これを3回。
続いて「では鎮静剤を打ちますね。ちょっと染みて腕が痺れたようになるかもしれませんが大丈夫ですか?」、「はい、今のところは大丈夫です」、「では眠くなりますよ」、「はい」、と答えたところで、乳白色の靄が両側からふわーっと漂ってきたようになり(あ、ちゃんと薬が効いたわ、よかった。気持ちいい…)と安堵したところで深い深い眠りに。
次に目が覚めましたのは、「はい、終わりましたよ」という声。素晴らしい。まったく苦しくもなく、何もわからないうちに終わったようです。喉の痛みもありません。まだふらつきますので車椅子に乗せられ、カーテンで仕切られた簡易ベッドへ移動。時計を見ると検査時間は40分ほどだったようです。「起こしにきますから休んでいてくださいね」、とのことでそのまま眠りに。
30分ほどして再び目が覚めましたが、もうずいぶんすっきりしています。(どのくらい休めばいいのかしら)と思いつつもそのまま更に20分ほど横たわり、トイレに行きたくなりましたのでナースコールを押して、「トイレに行ってもいいですか?」、と質問。「はい、いいですよ。でもまだちょっとふらふらすると思うので終わったら戻って横になっていてくださいね」、とのこと。あら、まだ休んでいなくてはいけないのだわ。
で、頑張って再び1時間ほど眠り、目を覚ましますが、まだ起こしにまいりません。固いベッドで背中がばきばきになりそうになりながら、待って待って待って待って、検査終了から3時間半経ったところで(おかしい!もういい加減病院が終わってしまうわ。)と部屋から出て名前を伝え確認をしますと、あっさり「大丈夫?お腹痛くないですか?じゃあもういいですよ」、とのお返事。他に検査を受けた患者さんは誰一人残っていませんし、気持ち看護婦さんの顔が引きつっておりましたし、うーん、これはおそらくうっかり忘れ去られていたのでしょう。
ということで、着替えまして、シーンとした院内を受付まで歩き、がらがらのロビーで会計を済ませ、病院を後に。あのまま静かにベッドに横たわっておりましたら、きっと気づかれないまま病院にお泊りでしたでしょうね。
娘の家に戻りましたのが6時半、夕食が7時。前日は夜8時までに夕食を済ませてくださいとのことでしたので、この日は23時間のプチ断食。夜ご飯がありがたく、美味しかったこと。
検査中、携帯はロッカーの中に入っておりましたし、長時間家族にも連絡を取れず。ただでさえ前日「神戸のパンダみたいに戻ってこれなかったらどうしよう」、と心配をしていた娘や母など、本当に何かあったのではないかとずいぶん心配したようでした。心配をかけました、ごめんなさいね。さて、検査の結果は金曜日。