MAMCナイト



MAMC(マムシーと読みます)とは、森美術館のメンバーシップ・プログラムのこと。「MAMCナイト」は展覧会ごとに開催されるメンバー限定のイベントです。
今回は、『医学と芸術展/展覧会の舞台裏トーク:女王陛下の“ダ・ヴィンチ”がやって来た!』。まず、この展覧会を企画したプロジェクト・マネージャーHさんによるギャラリーツアー、そしてコンサヴァターという、作品の保存、修復を担当されているAさんによるコアなお話あれこれ。
例えば、美術館に届いた作品が輸送中に壊れているということは意外に多く、その補修秘話(ジル・バルビエ《老人ホーム》のキャットウーマンの右手の小指が取れていたそうです。小指の秘密)。また、展示中に作品を劣化させないための温度・湿度の管理、作品や人と一緒に入ってきてしまう虫の駆除方法(展示室の隅っこの床に置かれた小さな黒い板のようなものは、バグトラップといって、餌なしゴキブリホイホイのようなものとのこと)。子供の無茶な動きや、地震に備える安全な展示方法(アクリルケースはビス止め、展示ケースも床に固定)、などなど、興味深いお話満載。
レオナルド・ダ・ヴィンチの素描、三つの解剖図は実はイギリス王室、エリザベス女王陛下所蔵のもの。クーリエという作品運び専門の担当官が飛行機で、自分の隣の座席に作品をしっかりと置いて、大切に運んできたものとのこと。こういったお話を伺うとありがたみも増すというもの。
一つ、これは今後の飛び出す絵本展で真似したい技がございました。今回の展示のために、イギリスのウエルカム財団から、本のコンサヴァターさんも来日されたそうで、貴重な本の展示用にアクリル製の展示台も届けられたとのこと。ロンドンに良い職人さんがいるとかで、一冊一冊、サイズも形状も違う展示台がきちんと用意されているのです。少し角度をつけたアクリルの台にビニールテープでページを固定した本を載せる。そうすると、開いたページだけではなく、表紙も見ることができるのです。これは使えそうです。
そして今日、もう一つ素敵な体験ができましたのが、イベント終了後の作品鑑賞。もう何度も展示を見られた方が多かったからでしょうか、残ってもう一度展示を見ようという方はほとんどいらっしゃらなかったのです。いるのは監視員さんだけ。どの展示室も、どの展示コーナーも一人。喉から手が出るほど欲しい、めくりの仕掛けのある人体解剖図も、ダ・ヴィンチの作品も、全部独り占めなんて、なんという贅沢。本物の人体のスライスや、リアルな解剖模型など、怖い展示もあるのですよ。その展示をずっと一人っきりで見て歩く。これはなんともわくわくする体験でした。
マムシーといえば、以前、能登の山でヤマカガシと出会ってしまったことがあります。同行者が枝でバシバシ叩いたものですから、尻尾を鳴らして威嚇され、たいへん怖かったです。咬まれなくてよかった。
※画像は帰りに寄り道をしました、六本木ヒルズ展望台からの東京タワー。