上野



この日は孫を婿に預けまして、娘と二人で上野の東京文化会館へコンサートを聴きに。いつも娘の事務所でお仕事をお願いしておりますヴァイオリニスト、Tさんのソロリサイタルです。
Tさんは今はまだ大学院に学ぶ学生さん。本当に才能豊かで、可愛らしくて、性格が良くて、しっかりもので、息子がおりましたら将来ぜひ嫁に、とお願いしたいようなお嬢様。この若さで、ストラディバリウスを貸与され、日本音楽コンクールで一位、という素晴らしい経歴を持ちながら、少しも驕ることなく、「このようなお仕事をお願いしたら申し訳ないかしら」、というようなことでも、時間が合えばいつでもニコニコと気持ちよく受けてくださるのです。
プライド高く生きていくのも一つの道かとは思いますが、Tさんのように謙虚なお仕事ぶりというのは、仕事のお声かけがしやすく、いつか大きなお仕事でお礼をできれば、とこちらも考えますので、“演奏家”として生きてまいりますためには大切なことなのではないでしょうか。
演奏は、いつもながらの若々しく、勢いのある、聴いておりまして気持ちのよい演奏。1697年製のストラディヴァリウス『レンヴィル』の奏でる音は、時に深く、懐かしく、まるで蓄音機から流れてくる巨匠の音色のよう。
プログラムに寄せられた挨拶文の中にございました、「願わくば、すこしでも、誰かの痛みを癒せますように。誰かに小さな幸せを運べますように。」という、彼女の想いが伝わってまいります、温かな雰囲気に包まれたコンサートでした。
終演後は、上野『みはし』の、あんずクリームあんみつで一休み。『みはし』はいつでも混み合っておりますが、決して落ち着かないということはなく、緑茶は美味しいですし、甘酸っぱいあんずたっぷりのこの、あんずクリームあんみつは大好物ですので、近くにあったらもっと頻繁に訪れてしまいそう。ちょっと離れたところにあってちょうど良かった、というお店です。
娘の買い物付き合ったのち六本木へ。東京ミッドタウンサントリー美術館の、『天地人展』、デザインハブで『日本のグラフィックデザイン2009 GRAPHIC DESIGN IN JAPAN 2009』を、ゆっくりと時間をかけて見学をいたしまして帰宅。楽しい、美味しい、一日でございました。