花月



母が湯島界隈を歩いておりましたところ、見知らぬ女性から、「この辺りに、とても美味しいかりんとう屋さんがあると聞いたのですがご存知ないですか?」、と声をかけられたのだそうです。母は心当たりがなかったのですが、一緒に探したところすぐに見つかったので、買い求めてきてみたとのこと。それがこの画像のかりんとう。一本一本はやや大ぶり、きめ細かく、しっかりとした、とても美味しいかりんとうです。合わせて買ってまいりましたおせんべいも、たいへん良きお味。
しおりによりますと、『花月は昭和二十年代初め、華やかな花柳界、粋でいなせな風情溢れるこの東京湯島で先代おかみが、子供相手の駄菓子屋を開いたことから始まりました。』とのこと。ある時、うっかり職人が煮詰めすぎ、飴になってしまった砂糖水で作ってみたかりんとうが、すごくきれいで、しかも美味しかった。同じものを作ろうとしたが、どうしてもできない。試行錯誤をくりかえし、やっと同じものを作ることができたのが、このかりんとう
しおりのご挨拶に社長さんの名前が書いてあるのですが、その肩書きが『代表取締役 お兄さん』。なんでも、花柳界では年上の女性を、「お母さん」、「お姉さん」、と呼ぶのだそうです。で、駄菓子屋で「社長」じゃ無粋なので、「お兄さん」と呼んでもらってます、と。年を重ねられたら、「代表取締役 お父さん」、になられるのでしょうか。